【赤羽業】私は……妖狐

妖36 ページ39

維波side

猿轡を外され
濁った空気を吸う



手足はそのまま
少し動かす度 ｼﾞｬﾗｼﾞｬﾗ




手足に鉄の固体が付いてるから
男に付けられた傷が中々癒えない



目線を上げ、ソファーに座り
脚を組んでる人と目を合わせる


『何が目的か教えて下さい』

「目的は何か、そんなの決まってる」


男はソファーから立ち
私の喉元にナイフを突き付ける


「お前が居ない間こんな話を耳にした。お前が願い事を言えば､それは必ず叶う、と」


どうしよう…身に覚えがない…


「俺達の望みは生涯働かなくて良い程の大金だ。この望みを叶えれば金輪際お前と関わらないと誓おう」


「さぁ､今すぐ叶えろ」と
ナイフの刃の角度を変える男



少し、皮膚に刃がめり込み
一筋の線が出来上がり､割れ､

赤い血が溢れ出す




血が首筋を撫で
1つの赤い線



染み込む


『…それは願いでは無く欲望の間違いですし､私は言葉を発しただけで望みを叶える力など持ち合わせておりません』

「…やはり､はぐらかすか。まぁ､予想の範疇だが」


男はそれだけ言いナイフを引き、
踵を返して

「おい」と後ろに立ってた男達に
目配せし､下がる



男が下がると､今度はｿﾞﾛｿﾞﾛ
気性が荒い男中心に目の前に並ぶ

手には…グローブに…､ナイ…フ…

ｶﾞﾀｶﾞﾀ…身体が震え出す


『ゃ…だ…ｯ』

〜〜＊

殴られ、切られ、
身体の殆どから出血



視界に拡がる
血痕



暴行時に飛び散った
小さな、赤い水溜まり



全部…､全部…、
私の血



口内に広がる
鉄の味



吐き出したくても猿轡の所為で
吐き出せなくて、気持ち悪い



“声を出され万が一の事があったら困るから”

そんな理由でされた猿轡は
すっかり赤色で染まり

口周り、血でﾍﾞﾀﾍﾞﾀ




気持ち悪い



脳がｸﾞﾗｸﾞﾗ
揺れる感覚




気持ち悪い



白黒のメイド服は最早
赤色で染まっている



ﾍﾞﾀﾍﾞﾀ 血で染まり
濡れてるメイド服が肌に密着




気持ち悪い


「俺達は忙しい。さっさと俺等の願い叶えた方が､賢明だと思うが?」


ｸﾞｲｯと､棒みたいな物で
顎を上げられ､男と視線が交わる


「叶える気があるなら1回､顎を引け」


そう､言われ
困る

願いを叶える事何て出来ないのに…

誤解をどう解こうか悩んでたら
顎から離れる棒の先


「寝る」


男はそれだけ言い
踵を返し遠くへ

遠くへ行ったのはあくまで“りーだー”って男だけ

周囲にはまだ、刃物を持ち薄汚い笑みを浮かべてる男達



…吐き気がする

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