検索窓
今日:27 hit、昨日:40 hit、合計:62,376 hit

8 ページ23

目蓋が重たい。
私は目を瞬かせ、先生を見た。

「……私の希望どおり、ゆっくりなんですね」

先生は頷いた。

私はふうっと息を吐いた。
辛くはないのに、呼吸が浅い。

もう目も開けていられなくなって、私はゆっくりと目を閉じた。
視界が真っ暗になり、代わりに温かさを抱きしめた。

とろとろと、ひだまりの中での昼寝のような心地良さを感じる。

「A」
「……はい」

低い声に名前を呼ばれ、私は微笑んで返事をした。

恐怖は消えて、絶望は隠された。

「……わたしは、死んだら、どこへいくん、ですか」

先生が少し笑って、空気が揺れた。

「お前の行きたいところに行けるさ」
「……ほんと、ですか」
「ああ」

意識が、途切れ、戻り、途切れ、戻り。

「あとひとつ」

唇を動かして、声を紡ぐ。

「せんせいは、わたしがしんだら、」

寂しいですか、と聞こうとしたけれど、声にならない。


意識が、沈んで、沈んで、

消えてしまう直前に、先生の声が聞こえた。

「……もうお前が笑うのを見れないのは、寂しいよ」

エピローグ→←7



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (84 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
78人がお気に入り
設定タグ:名前変換オリジナル , 短編集 , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

Niko(プロフ) - フォローさせていただきました......!こちらこそよろしくお願いします! (8月20日 18時) (レス) id: f73d5be156 (このIDを非表示/違反報告)
餅屋(プロフ) - Nikoさん» 作りました!きっかけを頂きありがとうございます!ご負担になった場合はフォロー外して頂いて構いません。よろしくお願いします! (8月20日 15時) (レス) id: 51ef15773f (このIDを非表示/違反報告)
Niko(プロフ) - 返信ありがとうございます、嬉しくて泣きそうです!もしアカウントをお作りいただけるのでしたら本当に嬉しいです......! (8月20日 13時) (レス) id: f73d5be156 (このIDを非表示/違反報告)
餅屋(プロフ) - Nikoさん» 無視して頂いて大丈夫です。もし需要があるようでしたらアカウントを開設します。いつも作品を読んで頂いて本当にありがとうございます。 (8月20日 3時) (レス) id: 51ef15773f (このIDを非表示/違反報告)
餅屋(プロフ) - Nikoさん» 良いかと思います。ただ、最新の物語が一番好きでいらっしゃるという貴方のような奇特な性癖の方(すみません)を、正直に申し上げますと逃すのは惜しいため、新しくアカウントを開設した場合に繋がらせて頂くことは可能でしょうか?ご気分を害してしまったようでしたら (8月20日 3時) (レス) id: 51ef15773f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:餅屋 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2014年3月18日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。