名前。【北 信介】

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侑side


今日は体育館の点検で部活がオフやったから、いつもより早くサムと帰宅する。

あいつはまだ帰ってきとらんかった。



「はぁぁ、暇やなぁ。」


「勉強するって選択肢がないのがすごいわ。」


「お前もせやろ！」



部屋ん中でオーバーの練習をしとる横で、サムはポテトチップスを食べていた。ちょっと頂戴。



「なぁツム、」


「んー？」


珍しく、いつもより声を低くして俺に話しかける。




「A、やっぱバレー嫌いになったんかな。」




「はぁ？知らんわんなもん。聞けばええやん。」



「やってあいつ帰ったらすぐ部屋篭っとるから話しかけにくいねん。」



「ならしゃーないやん。あんな中途半端な奴どーでもええわ。」



ほんまお前ってクソよな、とサムに言われる。喧しいわ。





すると下からただいま、という声。いつもより少し明るい気がした。


「サム行ってきぃや。」



「んん…やっぱええわ。」



「何やねん！」




Aが俺らの前で笑わんくなったのは、去年から。


初めてバレーで賞を取った時、俺らはそれよりもでかいもんを取ってた。


下手くそは、所詮下手くそやん。


でも




一言、良かったやん位は言えば良かったなって

少し思ってはいる。





Aの部屋にはバレーをしてた面影なんて無くなってて、その時は俺もサムも少し寂しかった。




下から足音がだんだん大きくなる。



珍しくAは鼻歌交じりに部屋に入っていった。





「……何や楽しそうやったな。」


「何かええことでもあったんちゃう？」


「ふーん、」



サムのポテトチップスを食べる音が妙に大きく聞こえた。




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