【HQ】ウブと乙女 【角名 倫太郎】

暴露 ページ5

あれから陸奥さんと別れてダッシュで部室に行く。幸い北さんには遅かったな位で怒られなかった。よっしゃ。


「角名！！」

「そんな大声出さなくても聞こえてるしうるさい。」


怪訝そうな顔をして俺を睨む角名にエナメルバッグからガサガサと陸奥さんのノートを出す。

「コレ見てや！！」

「人の話聞けよ。」


パラパラとノートを捲り見せつける。

「えっ俺じゃん。侑って絵上手かったっけ？」

「俺ちゃうわ。何でお前描かなあかんねん。」

「じゃあ誰だよ。」

「陸奥さん！」

「だから誰だよ。」

そうや。角名は知らんのや忘れとった。えっとえっと…



「昨日話してた例の女子！」

「え、」


細い角名の瞳が見開く。そしてほんの少し頬を赤くしてまじまじとノートを見る。



「わ、角名照れとる！！」

「ばっ…！照れてない！！」



普段あまり声を張り上げない角名に、俺だけでなく周りも驚いた。



「何やねんツムさっきからうるさいわ。」

「何で俺だけやねん！！」

「なんやなんやさっきから？」


アランくんが興味津々に俺と角名の輪に入ってくる。



「すごない！？これ角名めっちゃ似てない！？」

「ほんまや、よー上手く描けとるなぁ。」

「昨日話してた女子が描いてんねん！」

「えっじゃあそれ例の女子のなん！？侑自分から勉強するようになったん！？」


アランくんが驚き慌てている。サムもなんやなんやとやって来た。
別に勉強はせーへんでと言うとアランくんがさらに慌てる。


「それ俺らみたいな知らん人に見せて大丈夫やったん！？」

「いやあかんけど、見せたかったから。」

「あかんのかい！！何しとんねん！！」

「ツム最低やな。流石のクズ野郎。」


アランくんとサムに罵声を浴びられる。サム後で覚えとけよ。わっきゃわっきゃ騒いでると、我らが天下の北さんがやって来た。



「侑、人の物勝手に知らん人に見せたらあかんやろ。」

「……ｽﾝﾏｾﾝ…」


まさか今までの会話聞かれてるとは思ってなかったので、攻撃がでかい。



「でもほんま上手いなぁ。なぁ角名？」

サムが角名に話すが、反応がない。

「……角名？」

「………っ、えっ？」

「どうしたんぼーっとして。」

「べっ、別に…。」


そう言ってそそくさと部室を出た角名。部室には数秒の沈黙が漂う。


「お前らからかい過ぎやで。」

「えっ北さん？」

ため息混じりにはよ着替えて体育館来てやと言い残し、北さんも角名に続いて部室を出た。

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