ブラッドこれくしょん 駆逐艦 【ナナ】 ページ5
提督からの指示と資料を受け取り、左胸に手を当てて頭を下げる。
「ナナも一緒だからあまり無理をしてはいけませんよ?」
『はい、仰せのままに。』
指令書片手にナナを探す。と、いってもきっといつものところにいるんだろう。
そう決めつけて迷うことなく進むと、案の定、彼女はそこにいた。
大きく口を開けて、それはそれは美味しそうにおでんパンを食していた。
私は彼女の肩をそっと叩く。
「んぅ?ん!Aちゃん!どうしたの?」
『食事中ごめんね、提督からの任務頂いたよ。少しだけ遠いところ。』
準備してくる、と彼女は走り去る。
先にわたしは出撃ゲートへ向かうことにした。
外に出てみてわかる。波は穏やかで、いい風だ。
雲が少しあるから眩しくない。視界良好である。
ナナの特性上、奇襲は難しいだろうが、そちらのほうが緊張感もある。
それは他の任務や長期遠征にも応用が利くと思うので気合いが入る。
お待たせ!と鈴のような可憐な声が聞こえたところで息を吸い、少し止めて落ち着かせる。
「怖いのいっぱいみーつけたっ!」
ナナの全く読めない動きと、それから繰り出される攻撃に私も驚いてばかりだ。
刹那、小型機が撃破され、敵の頭の姿が見えた。
敵空母はしつこくナナを狙うが全く当たらない。彼女の機動は前より、ずっと成長していた。
負けじと私も連装砲を調整し、敵艦へ向ける。
主砲20.3センチ連装砲、発射して着弾する。沈没にそう時間は掛からなかった。
ほぼナナの活躍で敵は撃破された。
彼女は胸を張って口角を上げる。
私は己の未熟さに恥じるのと同時に彼女の力を認める意味で笑いかえした。
「あ!Aちゃんここ怪我してる!!」
私の頬に手を当てて、あーあと落胆する指には少し血がついていた。
「女の子が体に傷付けちゃダメだよ、ちゃんと手当てしてもらおうね。」
『でも、私はほとんど何も出来てなかった。そんな私が』
「もう!私はAちゃんが大好きだから心配なの!」
帰ろう、と強引に手を引っ張り、鎮守府へ帰還した。
提督の丁寧な手当ての後、ますます己に恥じていると、目の前にはあれがあった。
「元気だして!回復するには食べるが一番!!」
逆光で笑顔に影が落とされるが、この優しさに何度救われただろう。
前向きな気持ちで大事、とナナが横に座る。
今度は怪我しない、強く心に決めて口を開けた。
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ルーネスガルディン - 死神のシャルロットだ。、、、此処は? (2016年6月13日 12時) (レス) id: e3be47b955 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白い屈み | 作成日時:2015年8月18日 15時