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開けるべからずの間 【アナザージュリウス】 ページ24

君がこちらをじっと見つめるように、自分もじっと彼女を見つめた。


暗い廊下を浄化するような透き通る輝いた瞳、好きだ。
だが夢のような時間にも限りがある。
誰かの足音、静かな廊下に響き渡った。それに反応して彼女は行ってしまった。
純粋な心とは正反対の真っ黒で艶やかな髪をなびかせて。

そしてまた一人になる。



ある日、扉の目の前に彼女は立っていた。
白い手は取っ手を握っている。自分は扉の向こう、縛られたように動きを封じられて動けない。
縛られた腕を必死に動かして鎖をちぎった。

何のための鎖だったか知らない。
転けそうな勢いで走る。扉はこちらから見れば、ガラスのように透明だ。
彼女の扉の中央に触れた手を扉越しに重ねる。小さな喜びに浸っていたとき、


「お嬢様」

背後から別の声、彼女の手をつかみ、彼女の目を覆い、こちらを凝視している。
驚いた。自分とそっくりな奴だ。いや、瞳の色以外、そっくりっていうレベルではない。
少しずつ、顎を引いて、こちらを睨んでいる。
それから見せつけるようにして目線はこちらに、彼女に囁くようにして何かに告げた。
そして君はジュリウス、と呟いた。

それが奴の名前なら最も嫌いな言葉になる。

彼女欲しさに沸々と、沸騰した水の底から出る泡のように少しずつ、
それは多量になってそしてその面すべてを埋め尽くすどす黒い気持ちが現れた。
止めを知らないようだ。


透明な扉から見える“ジュリウス”を殴る。
もちろん、何の影響もない。自身の拳が少し傷むだけだった。
力任せに放った二度目の拳からは血が出ていた。
今の状態の自分には赤ではなく底知れぬ闇の色のように見える。
拳から出血した血は扉を垂直に伝って床に落ちる。
ちょうどこちらと君の世界の間で広がった。

(おいで、)

強く念じた瞬間足音を立てて何処かへ行ってしまった。それもジュリウスと一緒に。
その状況に理解出来なくなって扉に手をかける。
体当たりしてもびくともしない。

透明な色がますます焦らせた。

届くわけもない声を上げて叫んだ。A、Aと。

喉は痛み、呼吸に熱い液体が混じった。


「返せ…俺の……」

溢れる黒い闇、お前が居なくなれば誰が、誰がこれを浄化するんだ。

私の方が! 【シエル アリサ カノン】→←開けるべからずの間 【ジュリウス】



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ルーネスガルディン - 死神のシャルロットだ。、、、此処は? (2016年6月13日 12時) (レス) id: e3be47b955 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白い屈み | 作成日時:2015年8月18日 15時

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