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いつもと違う君 【ギル】 ページ22

はじめは躊躇っていた部下もだんだんその気になってきた。
とりあえず第一関門は突破した。
Aは頬を赤くして、大きな目は眠たそうに少し閉じている。


『部長は人使いが荒いんです!まるで私たち、パシリみたい…』

左手には小さなコップ、右手は緩い拳になってテーブルを叩いている。
本人は八つ当たりとして強く叩いてるんだろうが、酒のせいで力が入ってない。
何度もその状態で、テーブルを叩いても、隣には迷惑がないようの無いようで良かった。
俺は、豚バラを三本注文した。

隣で私も、と元気なAの声が聞こえる。
まるで授業参観の小学生のように指先まで手を伸ばし、挙げている。
こんな彼女は職場では見ない。


静かに愚痴をこぼすことなく、仕事をこなすAは皆から愛されている。
そのせいか、頼まれることも多く、なんでも背負ってしまう。
それでもこなしている根性が恐ろしい。異常ながんばり屋だ。
だから時々ここへつれて、知らず知らずの間に愚痴を吐かせている。
ここでしか見せない表情を見るのもなかなか面白い。

店主が張りのある声を上げ、豚バラを二皿出した。
胡椒が鼻をくすぐってにやける。隣のAは豚バラだけでとても喜んでいる。
いい匂いですね、と店主に言うと、得意気に笑う。それを見た中年の会社員もつられて笑う。
この雰囲気が好きだ。


「あまり食べ過ぎるなよー」
『ふふっ真壁大先輩じゃないですよー』

頬を包んで幸せそうだ。愚痴を吐いた後なら尚更だろう。

「ギルくんの部下は頑張り屋さんなんだね!!」
「そりゃ、もう…いつか倒れるんじゃないかってほど。」
『せんぱいは冗談がお好きですねーっ』


酔った勢いで肩を叩く。大きく息を吐いて今度はねぎまに食い付いた。
これだと今回はとてもストレスが溜まってたらしい。
でも、翌朝には忘れているんだろう。

『部長はもっと優しくなりませんかね、』
「最近は他社との競争がいつもより激しい。上はイライラしてる。」
「でも、お前の実力を認めているから怒れるんだろ、期待してるんじゃないか?」


返事がない。コップを口から離してAを見ると、口を半開きにして動かない。
そして力が抜けたように笑う。

『先輩がおっしゃるんなら許そうかなー』

頬が赤い。加えて結んだ髪で露になった白いうなじ。
いつの間にか開いていた第一ボタン。

いつものからは感じない色気にAから目を逸らす。
隣の中年が俺の肩をにやけながら叩く。



俺は、そんな奴じゃない…。

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ルーネスガルディン - 死神のシャルロットだ。、、、此処は? (2016年6月13日 12時) (レス) id: e3be47b955 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白い屈み | 作成日時:2015年8月18日 15時

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