価値 【ジュリウス】2 ページ16
「二億」
会場がざわついた。
私は驚く前に、この状況ではおかしいが、苦笑いしてしまった。
「そ、れでは二億で落札です。七百十六番の方、後程、支払いをお願い致します。」
____なんでこんな人身オークションが趣味のような人間が七百人もいるんだ。
『うっ』「ほら歩け」
強引に首の鎖を引かれ、喉が苦しい。
抵抗なんて出来ないしする気もないからただ、付いていった。
鎖が、重くなった気がする。
「少女、十七歳、白い肌と真っ黒な瞳、そして艶やかな黒髪が日本人であることを証明してます。」
取引役が私の肩に手をおく。一瞬背筋が凍って、目が覚めた。
「珍しいですね、日本人。しつけは簡単でしょう。」
私を買った人は黙々と同意書にサインをしていた。万年筆が置かれる。
買い手がこちらに寄る。無意識に、本能的に後ずさりした。
「売られる身とは、怖かっただろう。」
さっきまでイメージしてたのと違い、顔を上げそうになる。
ダメだ、希望を持ってはいけない。人を買う人は、どんな人かわからない。
鎖の痕が付いた手首を隠した。もう、痛みにはとても疎くなった。
「今日より、お前の主となる。なに、怖いことはしない。」
声は優しい、だが表情はみえない。私が下を向いていることにも原因はある。
信じてはいけない。なのに、少しだけ、希望を持ってしまう自分がいる。
____この人は、ちゃんと私を人間として見てくれるかな。
いや、ここは自分が 【ジュリウス・リヴィ】→←価値 【ジュリウス】
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ルーネスガルディン - 死神のシャルロットだ。、、、此処は? (2016年6月13日 12時) (レス) id: e3be47b955 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白い屈み | 作成日時:2015年8月18日 15時