【GOD EATER】神機使いこれくしょん (ページ14)

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髪を結ぶ　【ジュリウス】ページ14

本を読んでいた。
しかしそれは60年前のものとあって、紙は破れ変色し、読みにくい部分も多かった。
それでも内容に惹かれてページを繰る手が止まらない。

人の気配がした。惜しいが本から目を話して後ろを見ると、Aがいた。

『もうすぐ昼食です、そろそろ行きませんか？』

Aも本を持っていた。おそらく今、自分が持っているものより古い。
それについて訪ねると、困った表情を浮かべ、

『ラショウモン..だったっけ、アクラーヴァさんみたいな名前で、ええと』
「芥川龍之介か」
『あ!きっと、そうです間違いはないです。』

極東出身のはずなのに少しおかしい話し方をするのも無理はない。
生まれは極東、育ちは英国と聞いた。よって教育も家庭も言語、文化も英国式だった。
黒い髪と瞳、対照的な白い肌が極東の人間の特徴と思っている者には、彼女をどう思うのだろうか。

実際、自分も苦労した。

『話がチェンジですが、隊長の髪はとても綺麗ですね』

まるで聖母です、と黒い瞳に写される。
誉められたのか分からないが、どうも聖母と聞いて、ニュクス.アルヴァしか思い付かない。
文句なんて言えないが、とても表し難い気持ちだ。

『髪を結んでもよろしいでしょうか？』

突如向けられた好奇心の目。瞳には光が目立っていた。
そんな彼女の手は髪を弄りたそうにもう目と鼻の先まで来ていた。
そして、目覚めたように引っ込める。
謝りながらも手は未だに諦めていないようだった。

元が日本人だからか、消極的になった彼女を慰める代わりに自ら髪をほどいた。
人に晒すのは何年振りだろう。

少しずつ寄って、ついに髪に触れた。俺が椅子に座って彼女が立って髪を結う。
だから、後ろを向かない限り、互いの顔は見えない。
だが、Aの表情は分かる気がする。

少し時間が経って、Aの手が離れた。何か、いつもと違う。

『いつも上で結んでるので、したの方です。』
「何だか、平安時代の、あー陰陽師だったか、それらしいな」
『アイムグラッド』

結局そのまま昼食をとり、任務も済ませた。
ロミオとナナからは中世ヨーロッパの学者のようだと、ギルは昔のアニメを思い出した、とシエルからはAに髪を触れてもらったこと事態を羨ましがられ、自慢してやった。

髪の結び方を変えただけで、こんなに感想を持たれて、少し新鮮だった。

『A』「なんでしょう。」俺の部屋でレポートを書いていた彼女を呼んだ。

「今度は俺に髪を結わせてくれ。」