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人外同盟 《新人》 ページ12

突発的な痛みは根強くて、すぐには消えない。
じわりと痺れを発して回復していくなかでまた一つ、一つと傷が増えていく。
それは醜い痣となって染み付いた。血は、流れない。


『がはっ』

鳩尾へ一つ、蹴りが与えられると自分の身体は簡単にコンクリート壁まで飛んだ。
普通なら此方が蹴りを与え、その命令を下した頭とそれに忠実な身体を切り離せる。
人間は卑怯な事に腕を後ろで縛り、同時に足の自由も奪ってくれた。



呼吸さえも人間の支配下にあるようで、不快だ。


「人外が、なぜいるんだ!汚らわしい!その生に価値などあるものか!」

一般人に言えば憲法に大きく反している。だが、自分はどうだ。
もはや法によって守られる対象ではないかもしれない。
何度も何度も暴力とともに罵られる日々。人もよく飽きない。



「この腐乱死体が」


俗に言うゾンビ。

何かしらの理由で墓より這い出れば、視界が半分闇だった。
眼球がない、そう気づけたのは人々の悲鳴。
ゾンビはそんなに恐ろしいものだろうか。自分には微塵も理解できない。


その放心状態だった自分を狙って捕獲され、今に至る。

人間が刃物で手首を切っても肉筋が見えるだけで血は流れない。
面白がった人間は無駄に傷を与え、蹴り、殴り、挙げ句の果てに内蔵の片まで採った。


重い瞼を開けて辺りを見回すと、冷や汗が出た。

自分の鼻から、およそ1メートルの所で十の拳銃がこちらを向いていた。


「頭をぶち抜けば、死ぬ、だろう?」

幾人が人差し指を引き金へ掛ける。自分は転落で命を落とした。
よって脳天への被害は予想できない。冷や汗は顎へ伝った。


「終われ、人外」

軽い音が空気を割く前に、自分は縛られた腕で支点を作り、脚でソイツを蹴飛ばした。
銃弾は自分をかすり、先ほど自分が飛ばされた壁へ埋まる。


受け身に失敗した自分の肩に冷たい床の温度と衝撃が伝う。


体勢を戻した人間は怒り狂っていた。乱射した銃弾は一つ。闇の眼窩へ入る。
其れを吐き出した自分から細かい肉片が飛び出していた、削られたか..


なおも暴力は続く。鋭い痛みに鈍い痛み、刺さり殴られ、
意識は腐乱死体であるのに死にそうだ。

また銃声が聞こえる。今、新しい弾を充填したに違いない。

銃口をこちらに向けることでごく小さな風が起こる。
今度こそ墓に戻れる安心感と人間への殺意が渦巻いた。

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ルーネスガルディン - 死神のシャルロットだ。、、、此処は? (2016年6月13日 12時) (レス) id: e3be47b955 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白い屈み | 作成日時:2015年8月18日 15時

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