ライ・オン・ライ 【 九井一 】

8.5年の差は大きい ページ8

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会社の人たちには、未練なんてないって言ったくせに








嘘







未練なんてタラタラである、死ぬほどに。








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未だに三葉くんが好きと言っていた服を持っていたり






似合ってると言ってた服も





可愛いね綺麗だねった言ってくれた服とか







俺それ好きって言ってた耳飾りとかネックレスとか







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全部、未だに持ってる。









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先に言うと私は三葉くんとはお付き合いはしてない。三葉くんとは5歳の年齢差があった、私の方が上。






長年、何年も三葉くんは私に告白してくれていたし、私はそれをオトナの余裕とヤラで断っても、笑顔で頷いて、会話を戻すようにと、いい子だったと思う。






その告白もヤラセとかではなくて、いつもいつも顔赤らめて、言ってくるから本気なのだとわかっていた。







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そんな真っ直ぐな三葉くんのことが、私は大好きだった。









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でも大人ぶって、かっこいいような私でいたかったから、その告白を断っていたし、いずれ諦めるだろうって






5年の差は大きいからって






私が諦めていたから。








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──────── 『それでも俺、気にしませんよ』









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マセガキめ。







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そうやって吐き捨てた記憶もあれば、それに対して笑っていた記憶もある。なんだ、私







未練なんてタラタラでしかないじゃん、本当にばかみたい。







もう何年も前のことなのに、忘れることはなくて。







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｢5歳差ってどう思う？｣





＊｢いいんじゃないかな、別に今じゃ年齢差って何ともないでしょ。なぁに、年下でも好きになっちゃった？｣





｢いや、聞いてみただけ｣







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あの時は、５歳差なんてあり得ないと思ってた。何をどう考えたって、不釣り合いだし、私はどんどんおばさんになっていくわけだし。






お世辞にも、5個下の女の子たちより可愛いわけでも綺麗な訳でもない。










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─────── 好きにならなきゃ良かった。








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いつもそう思うくせに、それでも大好きだなって思って、思い出にすることも出来ず






何年もこの気持ちを抱きながら生きるのって苦しい






死にたくなってしまう。








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その気持ちを忘れることもなかった。







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｢お疲れ様でーす。｣








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5年の差は、私には大きすぎたんだ。








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