ライ・オン・ライ 【 九井一 】

41.中毒者 ページ41

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あれは、間違いなく毒で、取り込んではいけなかったんだと思う。







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昨日、九井さんにご飯を作ってからの、あの言葉が未だに脳裏に浮かんでは、私の脳に住み着くのを辞めない。









困ったな、これは大いなる誤算である。










こんなはずじゃなかったのに。










少しばかり考えては、目の前の書類たちを眺めながら、少しずつと心に浸透していく。









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そうじゃない、そんな綺麗な関係でもない、私たちは










お互いの傷を埋め合いながら










お互いを傷つけあってるような










そんな契約関係









それだけなはずなのに、どうしてこうなったんだろう。










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｢いや、なんも無いけどさぁ。美味かった、ってなんなんだし。……………そんな、美味しいもん作った記憶ないけど、私｣












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ぶつぶつとした呟きを零しながらも、ドサッと目の前の書類たちを片すために立ち上がる。









こんなつもりじゃなかったし、それに依存するつもりもなかった。









なかったはずなのにな。










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お互いに分かりきっていて、お互いに理解していて、だからこそこんなの間違ってる、なんてそんなの私もちゃんと区切りをつけたいのに。










だって








三葉くんなんだもん、九井さんが、あまりにも。何も似てないのに、似てるなんておかしいってわかってても










三葉くんだな、って思っちゃうんだ。











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｢み、つばくんに会いたいけど、九井さんに迷惑なのかなぁ。でも、死ぬほど会いたくなったら、って言ってたもん。言ってたし、……………………でも｣










｢でも、あの九井さんみたら｣











｢すがれないよ、だって｣











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苦しかった、辞めたかった、消えたくなってしまった。









こんな見た目でごめんなさい、って謝って、そのまま死にたくなったけど、そんなの九井さんがもっと苦しんでしまう。











いつからだろう











いつからなんだろう。











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｢そんなの、わかんないもん｣










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吐き捨てた先は、人のいない資料庫で。そこで書類たちを眺めながら、そんな感情が溢れ出てしまう。









なんでなの、なんてわからないけれど。










きっとこれは










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毒に違いない。










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