37. ” あかねさん ” ページ37
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いつからだろう、裏社会でいいやなんて投げやりな考えを持っては、親との縁を切ったのは。
親を巻き込みたくなくて、切ったけれど、父さん母さんも「なんで」とか理由も聞かずに
ただ「そっか」で了承してくれた。
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親には恵まれている方だと思う。おまけに環境にも恵まれてきて、多分表すなら「極々平凡」と言ったところかもしれない。
親不孝者だなぁ、私。
そんなことを考えながら、車の運転をしていれば、助手席に乗っては、まだ頭が回りきっていない九井さんをたまに見る。
酒臭いなぁ、こんな時間までよく飲めるなぁ、って考えながら、この前連れられた九井さんの家に向かう。
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九井「あかねさん」
「なに、はじめくん」
九井「オレの約束、重たい?」
「え?」
九井「5個下のオレが未だに好きって、あかねさんにはおもたいのかなって」
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なんて返すのが正解なのかなんて、わからなかった。
赤信号でブレーキを踏み込んでは、少し体が揺れる。チカチカと鳴るウィンカーの音しか響かなくて
私はなんて言えばいいのか、わからなかった。
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「約束、やぶるの?はじめくん」
九井「ちが、そうじゃない!そうじゃないけど、だって、オレは」
「オトナになるの待ってたんだけどなぁ」
九井「でも、………………でもオレは」
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ポロポロ
ポロポロ
頬を伝う無色透明が、光に照らされてもなお、その涙を指摘することも無く
アクセルを踏み込んだ。
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「守ってくれるんじゃないの?私の事」
九井「…………………まも、るよ。だって、約束、したから」
「それでいいと思うんだけどなぁ。はじめくんが隣にいるなら、私それでいいもん」
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嘘で塗り固められたようにと、私は私を殺して、赤音さんを演じるだけだった。
辿り着いた高級なタワマンは何度観ても、分からないと思ってしまうけれど、それでもどうでもよかった。
何してんだろ、私。
ぼんやりとしたそんなことを考えながら、九井さんの手を握って部屋へと向かう。
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九井「あかねさん」
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ふわり微笑むあなたがいた。
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ちょき。(プロフ) - 十六夜夏希さん» まだ2人とも囚われてるような感じになってます!! 少しずつですが、物語が動き始めつつありますので、見守って貰えたらです! コメントありがとうございました! (2021年12月5日 9時) (レス) id: 186429bef0 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜夏希(プロフ) - え、めちゃくちゃ切ない…。それぞれの囚われている感がめっちゃ好きです。ココの推しもっと増えろ。(笑)更新頑張ってください! (2021年12月1日 2時) (レス) @page38 id: 1ab5df6e8d (このIDを非表示/違反報告)
ちえ - ココオタクって言われてしまったうち喜んでいいのやら😩 (2021年11月30日 0時) (レス) id: 0560ab194e (このIDを非表示/違反報告)
ちょき。(プロフ) - ちえさん» 九井くんいいですよね!!わかります!!私も好きです! 今回は九井くんメインのお話でしかも長めのお話なので、楽しんで貰えたらです! コメントありがとうございました! (2021年11月28日 23時) (レス) id: 186429bef0 (このIDを非表示/違反報告)
ちえ - ココが推しなのでこういう話しがもっと見たいです。 (2021年11月26日 19時) (レス) id: 0560ab194e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょき。 | 作成日時:2021年11月22日 13時