14.これは利害の一致ってやつ ページ14
.
一瞬、意味がわからなかった。
.
勝手に呼び出されて、拉致されて、連れてこられた先で、三葉くんに似たその人は、私との契約を持ちかけてきた。
それは会社のことも関わるのかな、というのが1番の考えだった。
けど、私もそこまで馬鹿な女ではない。
.
「個人契約ですか」
九井「それ以外ねぇだろ」
「なんの」
.
警戒しながらも、そう問いかけたのなら、彼はため息を吐き出した。その息はただの透明で、空へと消えていくほどに
軽いようで
重たいような
そんな息。
.
オマエのこと調べさせてもらった。どうやらオマエはあっちの世界との縁を切ってる、って話じゃねぇか。
おまけに数年前には 榊 三葉っていうやつが死んでる。
写真みたらびっくり、今のオレと似てんだもんな。そりゃ重ねるわ、って納得いく。
しかも5歳差なんて、オレとあの人と同じような環境なわけ。
.
脈打つ心臓がうるさくて、どうしてか背中に壁が着くほどに、追い込まれていたらしい。冷えて、つめたくて、体を揺らす。
勝手に調べるなんて酷い!帰らせていただきます!って
そうやって、振り払って部屋から出ていけたのなら、私の人生変わっていたのかな。そんなことを考えてしまう。
ダラダラと垂れる冷や汗が、背中にまとわりついて嫌だった。
.
九井「利害の一致だ、オレとオマエは。」
お願い黙って。
.
九井「オレはオマエからの愛なんていらねぇ、どうでもいい。」
お願いだから。
.
九井「オマエだってオレからの愛なんていらないだろ。」
やめて。
.
九井「オレを榊三葉だと思えばいい、そのように演じてやるよ。けど、オマエを乾赤音だと思わせてほしい。そのように演じろ。」
.
「っっっ、ばかにしないで!!!!」
「私とあなたは同じなんかじゃない!!!」
「私は、……………ただ私は」
.
触れられた手が熱かった。嫌な程に熱が籠ってしまうから、振り払おうとしても、振り払えなくて。
.
九井「オレじゃダメですか、Aさん」
.
望んだはずなのに
その声でその喋り方を、呼び方をしないで
泣きたくなってしまうから。
.
254人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちょき。(プロフ) - 十六夜夏希さん» まだ2人とも囚われてるような感じになってます!! 少しずつですが、物語が動き始めつつありますので、見守って貰えたらです! コメントありがとうございました! (2021年12月5日 9時) (レス) id: 186429bef0 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜夏希(プロフ) - え、めちゃくちゃ切ない…。それぞれの囚われている感がめっちゃ好きです。ココの推しもっと増えろ。(笑)更新頑張ってください! (2021年12月1日 2時) (レス) @page38 id: 1ab5df6e8d (このIDを非表示/違反報告)
ちえ - ココオタクって言われてしまったうち喜んでいいのやら😩 (2021年11月30日 0時) (レス) id: 0560ab194e (このIDを非表示/違反報告)
ちょき。(プロフ) - ちえさん» 九井くんいいですよね!!わかります!!私も好きです! 今回は九井くんメインのお話でしかも長めのお話なので、楽しんで貰えたらです! コメントありがとうございました! (2021年11月28日 23時) (レス) id: 186429bef0 (このIDを非表示/違反報告)
ちえ - ココが推しなのでこういう話しがもっと見たいです。 (2021年11月26日 19時) (レス) id: 0560ab194e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ちょき。 | 作成日時:2021年11月22日 13時