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2.心臓が痛む理由 ページ2

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働き始めて3年の月日が経った。









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仕事には慣れたし、先輩たちともそれなりに連携は取れていたし、後輩への指導もなかなかに出来ていた。





時折良い所と取引が出来たりしたのなら、たまに上司が飲みに連れて行ってくれたりもする。






3年の月日が経ったところで、あの日が消えるわけでもなく、今もなお頭の片隅にいたのは彼だった。切ったはずの世界から、切り離してくれない。






あの声で「Aさん」なんて呼ぶ君しかいなかったから。








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その日は午後から大きな取引があった。しかも契約するかはまだ未定な、トップシークレットな案件。





上司の付き添いで私も同行する形になった。





先輩たちに、頑張れと言われたが私が頑張る訳でもない。でも緊張はしている、三十路手前のくせして。







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そこはどこよりも厳重な場所だったと思う。今ではもう覚えていないけれど、とにかく何回も検査を受けた気がする。会議室までたどり着くのに50分はかかってたと思う。





大きな取引だってことはわかっていたから、冷や汗が背中を伝う。





コンコンコンっと鳴り響いたノックの音に、心臓の音がうるさくてたまらなかった。








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───────── ガチャッ。












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心臓が止まったんじゃないかってぐらい、無音の世界だったかもしれない。









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目を見開いて、ドアが開かれた先の向こう、椅子に座る彼を見つめるだけだった。







白くて長い髪の毛






切れ長の黒い瞳





美人というのかイケメンというのか兎に角整った顔立ち。









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「検査、何も無かったみたいだな。」







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喋り方は違えど、声まで似てるなんてやめてくれ。




私がどんな思いで、こっちの世界に踏み込んだと思っているんだ。神様は本当に、私のことが大嫌いなのかもしれない。




涙で、目の前が滲みそうなのを、お辞儀をして誤魔化した。







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顔を上げたその瞬間、彼は目を見開いていては、疑っているかのような表情をしていて、その表情も似ているから、困ってしまう。






人違いでもいい、それでもいい、いいから。





わかりきっているのに、そんなこと、もう最初からわかっていたじゃないか。







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「あ、かねさん?」
「三葉、くん?」










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お互いの声が、重なり合う。









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3.防衛本能なんていって→←1.何色でもない世界



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ちょき。(プロフ) - 十六夜夏希さん» まだ2人とも囚われてるような感じになってます!! 少しずつですが、物語が動き始めつつありますので、見守って貰えたらです! コメントありがとうございました! (2021年12月5日 9時) (レス) id: 186429bef0 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜夏希(プロフ) - え、めちゃくちゃ切ない…。それぞれの囚われている感がめっちゃ好きです。ココの推しもっと増えろ。(笑)更新頑張ってください! (2021年12月1日 2時) (レス) @page38 id: 1ab5df6e8d (このIDを非表示/違反報告)
ちえ - ココオタクって言われてしまったうち喜んでいいのやら😩 (2021年11月30日 0時) (レス) id: 0560ab194e (このIDを非表示/違反報告)
ちょき。(プロフ) - ちえさん» 九井くんいいですよね!!わかります!!私も好きです! 今回は九井くんメインのお話でしかも長めのお話なので、楽しんで貰えたらです! コメントありがとうございました! (2021年11月28日 23時) (レス) id: 186429bef0 (このIDを非表示/違反報告)
ちえ - ココが推しなのでこういう話しがもっと見たいです。 (2021年11月26日 19時) (レス) id: 0560ab194e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちょき。 | 作成日時:2021年11月22日 13時

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