仕事のイメトレ* ページ36
またいつもの彼と二人きりの夜。
とくに話すこともなければすることもない。
やるとすればもう寝るだけである。
『A、そろそろ敬語とかさんずけいいんじゃないか?』
「はい?」
暫く沈黙が続いていて、速めに布団に入っていた私。
でも彼がふいに心を爪楊枝でつくようなことを言って来たので、驚きつつ首を傾げた。
『出会って結構立っているだろ?本には仲良くなると敬語は外したり、「さん」も付けないと書いてある。』
「あの…物語と現実って違うんですけど。まー外してほしいなら少しずつでも、やってみます?」
「みます」とは自信ありでは言えなかった。
まだ慣れていないことはその日からやるのは無理があるのだ。
というかこの会話一回どこかでしたことがあるような気がするような、しないような。
『疑問形か、俺はその方が嬉しい?のか。』
「聞かれても知らないよ!」
突っ込むときは基本的に敬語が外れるし、「さん」なんてつかないことが多くなっている。
「ゴウセルが嬉しいかなんて、私にはわからないよ。自分にしか。」
彼は「そうか」とこてんと首を傾げたまま戻ろうとしなかった。
そして何か考えた後「やってくれるんだな」と呟いた。
彼が嬉しく思っているかはさておき、敬語を外すことに少し意識することにした。
こんなことばかりに意識するのもなんなので、明日の呼び込みのシュミレーションを頭の中でやってみる。
いろんなことを想像でやってみるのだ。
失敗もあるかもしれないのでその対処法も見つけておかなければならない。
例えば何かの拍子にお酒がこぼれたときは?
…だめだ、イメージトレーニングでもうまくいっていない。
もうちょっとうまく!
《あの、て、店長さん?》
…あ、そうだ。店長さんが助けてくれる!
なんとかイメトレ成功。
ああ、難しい。働くことのむずかしさを改めて知る。
横で見ている彼は不思議そうにまた首を傾げていた。
そんなことは気にしないで次のイメトレに。
《い、いらっしゃいませー…!》
…あ、だめだ。声がしっかりと出ていない。
緊張しすぎだ。たかが呼び込みだろ。お客さんを呼び寄せるだけの仕事なのに。
《緊張しないで、大丈夫、僕と声出そうよ!》
頭の中でも優しいディアンヌ。
まーかってなイメージなのだけどこんな感じ。
明日頑張ろう、緊張いらない、捨て去れ!
彼にもサポート頼めばいいのだ、失敗を恐れるな!
明日に向けてもう寝よう。
頭を休め体を休めるために。
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ピース♪@PC破損中(プロフ) - ルナさん» うわー!なんと!ありがとうございます。あの…どこの部分でしょうか? (2018年8月1日 12時) (レス) id: 42eb3dfe3d (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - 回転じゃなくて開店だと思いますよ (2018年8月1日 12時) (レス) id: 27b92c5969 (このIDを非表示/違反報告)
、 - ルールも守れない、理解もできない人の作品には高評価はつかない (2018年3月6日 19時) (レス) id: eebce367fa (このIDを非表示/違反報告)
心の雨と虹の空@現在低浮上ぎみ(プロフ) - オリジナルフラグ、外してください。続編を作る前によく確認してから更新してください。 (2018年2月11日 12時) (レス) id: 469d2368ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピース♪ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/yu0828na/
作成日時:2018年2月11日 12時