防犯カメラ* ページ2
存分に彼からの抱きしめを味わってからは二人で帰り道を歩いた。
いや、存分にではない。
実際には数分だった。しかし、私が長く感じただけである。
「もうついちゃうね。」
私は空を見上げながら彼に言う。
『まーいいじゃないか、楽しかった?から。』
「う〜ん、そうだね。ただ今!」
『今日も兵士はいない…っと。』
そして、彼はいつの間にか、見張りになってくれていた。
なってくれる…というより、かってになったのだ。
「ありがとうございます。」
私は一例をして、家の中に入った。
そしてお風呂やらなんやらを終わらせて、いつものように布団の中。
メイリスは今日はいないらしく、どこからも声は聞こえてこなかった。
『メイリス…いないな。』
「え?今気づいたの?」
『いや、家に入ってから気づいた。気配が感じられなかった。』
彼はまるで防犯カメラのようだ。
家の周りを見張ってくれるし、気配も感じ取れる。
この敏感さにはいつも驚かされる。
「そうですか、この防犯カメラさん。」
だから、思ったことを口にだしてやると、案の定彼は首を傾げてぽかーんと口を開けた。
『防犯…カメラ?』
…そうだ、わかるはずもない。
この時代に防犯カメラなんて存在しないはずなのだから。
「何もないです。」
『そうか…もう寝るのか?』
説明は覚えていれば明日にして、寝るのにはちょっと速い。
しかし、終わった時間が速かったので、もう寝てもいいな、とも思った。
…でも、このままメイリスを待って痛い、という自分もいたのでかっとう中だ。
「迷ってる。」
こんなにも短い会話を交わしているが、彼は眠くないのだろうか。
どうでもいいことを考えながらも寝ようか寝ないかを迷う。
『そうか、俺は明日に備えよう。』
これこそ寝るのだろうか。
いや、彼の「明日に備える」は、寝ることではなく、本を読むことらしい。
面風呂に本を取り出した彼は、私がこうして悩んでいる間もぺらぺらとページをめくっている。
「一度本の世界に連れて行かれると、帰ってこられないあなただから気を付けて。」
聞いているのかいないのかわからないが、たぶん聞いていないだろう。
どっぷりとはまってしまった彼には、もう何を言おうが無駄である。
仕方なく私は、メイリスを待つことにした。
フトンの中なので寝てしまう可能性は王位にあるけどね。
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ピース♪@PC破損中(プロフ) - ルナさん» うわー!なんと!ありがとうございます。あの…どこの部分でしょうか? (2018年8月1日 12時) (レス) id: 42eb3dfe3d (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - 回転じゃなくて開店だと思いますよ (2018年8月1日 12時) (レス) id: 27b92c5969 (このIDを非表示/違反報告)
、 - ルールも守れない、理解もできない人の作品には高評価はつかない (2018年3月6日 19時) (レス) id: eebce367fa (このIDを非表示/違反報告)
心の雨と虹の空@現在低浮上ぎみ(プロフ) - オリジナルフラグ、外してください。続編を作る前によく確認してから更新してください。 (2018年2月11日 12時) (レス) id: 469d2368ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピース♪ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/yu0828na/
作成日時:2018年2月11日 12時