青春はサイダーのように (ページ26)

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26.「どこにいても目立つよね」ページ26

RJ Side

俺以外の三人はリレーの準備で行ってしまい、一人で戻ってきたジェミンへ何度問いただしても曖昧に笑うだけで何も答えることはなかった。

「Aは？」と聞くと「自販機に飲み物買いに行った」と言った。

普段のジェミンなら絶対についていきそうなのに、Aは一人で行ったらしい。

ジェミンは暑いから寝てくると言ってどこかへ行ってしまった。

マイペースすぎるだろ…

一人でここにいてもすることがないのでAを探しに行くと思ったよりも分かりやすい場所にAは座っていた。

「迷子？」

『違うよ～、ここからだとグラウンドがよく見えるってマク先輩に教えてもらったの』

「へえ、Aのことだから迷子になったのかと思った」

『次マク先輩とジェノがリレー出るでしょ、しっかり見届けないと』

「ドンヒョガも出るけど」

『足早いもんね』

隣に座り込んでみると確かにここは日差しが遮られるし、少し遠いけどグラウンドがよく見えた。

高い位置で結ばれたポニーテールが風でゆらゆらと揺れる。

楽しそうに笑ったAは、そろそろ始まるかな～とグラウンドに視線を移した。同じように俺もグラウンドを眺めながら、Aの独り言なのか話しかけているのか微妙な声に相槌を打つ。

人波に紛れているせいで、俺はみんなのことをすぐには見つけられなかったのに

Aは「ドンちゃんってどこにいても目立つよね」と俺のほうを見もしないで言った。

視線を辿れば、クラスメイトと仲よさそうにじゃれあうドンヒョクの姿をやっと見つけられた。

ドンヒョクは俺達がここにいるのを知らないのかこっちに気づく気配はない。

後ろのほうにいたマクヒョンとジェノはここから見ているのを知っているのか、こっちを見て軽く手を振った。

俺達よりかなり前に座った女の子たちがキャーキャーと騒ぐ声が聞こえる。

『アイドルみたい』

「二人ともモテるからな」

『ロンちゃんもモテるでしょ』

「そんなことないけど」

『ロンちゃんかっこいいもん』

ニコニコと俺を見つめながら話すから少しだけドキッとしてしまった。

こいつは何にも気にしていないのかそれとも考えていないのか、ふいにそんなことを言うからこっちが戸惑ってしまう。

それを悟られないように考えるより先に、なんてことない言葉が出てくるから困ったものだと思う。

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