【QK】透明色の感情を愛と呼ぼう【ymmt】

私たちの出会いを別れと呼ぼう ページ50

電話を切ると、私はグラスを手にカウンター席に腰を下ろした。番組は出演者紹介を終えて、いよいよクイズに入ろうとしている。先程から頻繁に鳴る通知は、全てQuizKnockメンバーのツイートだった。どうやら六人全員がタイムラインに浮上し、リアルタイムで感想を発信しているようである。みんなで集まって見ると言っていたのに、相変わらずファンへのサービス精神も旺盛だなあ。私は更新され続けるタイムラインを片手に、再びテレビに視線を戻した。

『QuizKnock強い！圧倒的な力を見せつけている！』

番組は順調に進み、言葉の通りQuizKnockは他を寄せ付けない強さを見せつけていた。そんなことは動画上だけで十分理解しているつもりだったが、改めて見ると圧巻の実力だった。

『勝利まであと一点のQuizKnock軍団ですが、伊沢さんどうですか？』
『そうですね。押し負けてしまうことも多々ありましたので、最後まで気を抜かず勝ちたいと思います。』

冷静沈着に分析した伊沢さんの言葉に、メンバーたちは揃って頷いた。向上心が止まらない彼らの目は、水晶玉のように輝いている。こんなに素晴らしい煌めきを誇る彼らと出会えて、私は幸せ者だな。思わず込み上げた熱を隠すように、私はグラスに口付けた。

『問題。』

全てを黙らせる一言が、画面内に響き渡る。一点を見つめた彼らの真剣な表情に、ただ放映される映像を見ている私にまで緊張感が走った。

『ウォッカとオレンジジュースを、』

その瞬間、ボタンの音とともに一人の人間が大きくクローズアップされた。輪郭はくっきりしていて、彼の表情は自信に満ち溢れていて。

『スクリュードライバー！』

大きな声で響いたその言葉の直後、正解を告げるベルが鳴り響いた。実況席から聞こえる優勝の栄誉、他の出演者から沸き起こる拍手と歓声。興奮したメンバーたちは彼に詰め寄り、最高の笑顔を浮かべている。思わず私も拍手をしようとして、握っていたスマホの画面が光った。きっと彼らのツイートだろう。そう思い画面を開く。

「…っ、」

表示された文章を読んで、私は思わず文字にならない言葉が漏れた。嬉しいはずの言葉が、別れを目前にした今となっては、深く心に突き刺さって。

「ずるいよ……。」

そんな声は、誰に届くはずもないのに。

『ウィニングアンサーは大好きなバーテンダーさんから教えて貰った知識です。いつもありがとう！これからもよろしくね。』

グラスに残るニコラシカが、夜風を受けて寂しげに揺れていた。

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