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「あのぉ、」
「へ？」
「すみません。ちょっと気になってしまって…」
意を決して話しかけると当然のようにとても驚かせてしまう。
申し訳ないな、恥ずかしいなと思いながらも頑張って言葉を続ける。
「香水お好きなんですか？たくさん手に取ってらしたので」
「え、いや」
ううっ…不審な人を見る目にいたたまれない。
ええと、何か……あ！
「いきなり話しかけて変でしたよね！すみません、私こういう仕事してまして」
慌てて最近刷ったばかりの名刺を渡すと納得したように頷かれて。
「てっきり何かの勧誘かと思っちゃって。すみませんね」
さらっと笑顔で謝ってくれるなんて、きっとこの人いい人だ。
「こちらこそいきなり話しかけてすみません。職業柄気になってしまって」
「あ、じゃあ聞きたいんですけど」
「はい！ええと、できる範囲でお力になります」
ぐっと両手を握りしめた私を見て男性はくすりと笑った。
「彼女の誕生日にあげようと思ってたんですけど、正直どれも同じに見えるんすよね」
「そうですね、やっぱり香りは人によって好みがあるのでリサーチをするか、もしくは前使っていたのと同じ系統がいいかもしれませんね」
彼女さんか…いいなぁ。
男性の薬指にキラリと光る指輪ににやけそうになる。
全然知らない人でも幸せそうなオーラを感じるとこっちも嬉しくなるよね。
「前の…確か柑橘系だったかな？」
「なるほど。柑橘系にも色々あって、わかりやすく言うとオレンジとかの甘めな匂いと柚子の苦め、檸檬の爽やかな匂いとかあるんですが」
「あーオレンジは多分嫌いだわ」
「じゃあこの辺りのが…」
棚に並ぶ箱を指しながら、その中に自分が作ったのがあって少し笑ってしまう。
そうそう。この香水が完成した後に智くんが会いに来てくれて。
あれからもう半年も経ったのかあ。
「あ、これうちの会社のじゃん」
「え」
そう言ってお兄さんが手に取ったのはまさに今考えていた私が作った香水。
「そういや新ブランド作るって言ってたっけ。これにしてみるか」
「え、え？」
うちの会社？てことはこの人も広義でいうところのお兄ちゃんの部下？
それよりもその香水は私が作ったんですって言うべき？
「お姉さんありがとね」
「いえ！あの、」
「あれぇ？二宮くんじゃん」
び、っくりした。
それはもう、心臓が止まるかと思うぐらい。
突然耳に飛び込んだ耳慣れた声に振り向くと、へらへらと笑う智くんがこっちに歩いてきていた。
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snow - 初めてコメントさせていただきます。いつも、というか毎日(笑)、更新楽しみにしております。紫苑さんの作品はどれも好きです！またリクエスト思いついたらコメントしようと思っています(笑)これからも応援してます！！ (2021年3月2日 17時) (
レス) id: f93ac5a74a (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - おはよぉございます。朝からドキドキしちゃいました(笑)蛇に睨まれた蛙状態ってこの事を言うんですよね。長期戦…潤くんの出方が楽しみです。 (2021年3月2日 8時) (レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - りえさん» りえさんコメントありがとうございます！リクエストもありがとうございました！テンポの良い会話は意識しているところでもあるので感じ取っていただけて嬉しいです！今後もよろしくお願いします。 (2021年2月20日 22時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
りえ(プロフ) - こんばんは。素敵な物語をありがとうございました。ハラグロ〜をリクエストしたりえです。テンポが感じられる会話と、ちゃんとヒロインを見てくれている彼を感じられました。今後も更新を楽しみにしております。 (2021年2月7日 22時) (レス) id: 21caf3f58b (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - kazuさん» 読んで下さってありがとうございます！DM頂いてない方のフォローリクエストは消去してしまってることがあるのでフォローできてないかもしれません！もしフォロー出来ていなかったら青い鳥でのお名前を教えて頂ければ許可しますのでコメントをくださればと思います。 (2021年2月6日 23時) (レス) id: 00c99a5500 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫苑
| 作成日時：2021年1月4日 12時
