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「えっと、なんでもないですよ。ちょっと風邪気味で。鼻声なのは多分そのせい…」
『Aちゃんってウソつくのヘタクソだねぇ』
誤魔化すために張り上げた声を遮られて、簡単に嘘だと言い当てられる。
どうしてこの人には私の嘘が通用しないんだろう。
『泣いてたんでしょ？どーしたの？』
純粋に心配だけを含んだその声に涙が止まらなくなる。
「お、おのさん…ホントに私ダメなんです」
『え？』
こんなこと大野さんに言ったって仕方がない。
そうと分かってはいるけれど、どん底まで落ちた気分では歯止めが効かなくて。
「もっと可愛げのある言い方あっただろうなとか…」
知らないうちに噛み締めていた唇からは血の味がして。
「何で取り繕うような嘘ばっかりついちゃうんだろうとか。なんか……考え出したらキリがなくて｣
『えええと、それはニノに対して？』
「はい……中でも、」
『中でも？』
「こんなになるぐらい長く片想いしている自分が嫌で」
大野さんの柔らかい声に促されてするりと引き出された言葉。
ああ、これが私の本心なのか。
不思議と納得している自分がいる。
どんなに思い続けてもカズさんが振り向くことはないのに、それでも彼への想いが断ち切れない。
私はそんな自分が嫌いなんだ。
「ごめんなさい。大野さんにこんなの言ったって迷惑なだけですよね」
『…ねぇAちゃん、それはダメだよ』
謝って切ろう、とした時に聞こえたのは大野さんの鋭い声で。
電話の向こうにいる彼が怒っている事がわかるその声に身が竦む。
『どんなにつらくても、自分のことは嫌いになっちゃダメ』
続けて聞こえたその言葉で、心に溜まっていた澱が消えていくのを感じた。
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紫苑(プロフ) - yukidarumakunさん» あとがきにも追記しましたが、この二人のその後を短編で書き始めました。ぜひ覗いてみてくださいね。 (2020年6月7日 16時) (
レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
yukidarumakun(プロフ) - ものすごく楽しみです！またこの2人に会えるのを楽しみに日々の生活頑張ります。こんな時期ですので御無理のないよう創作して下さいね。 (2020年6月6日 19時) (レス) id: b586aa50e6 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - yukidarumakunさん» 労いのお言葉ありがとうございます。この後の二人については少し考えていることがあるので楽しみに待っていてください！続きを書いた時にはまたこちらでお知らせしますね。 (2020年6月4日 12時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
yukidarumakun(プロフ) - 完結お疲れ様でした。この後の2人も見たいですね。また、いつか続編読ませて頂ける日を楽しみたいしています。 (2020年5月31日 19時) (レス) id: b586aa50e6 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - めぐぽん(*´･∀･)さん» コメントありがとうございます。楽しみと言って頂けて嬉しいです。更新頑張りますね！ (2020年5月26日 23時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫苑
| 作成日時：2016年12月14日 22時
