嬉しいお酒 ページ17
★★★
「…どうもありがとう。
普段は飲まないんだけど、今日はちょっと嬉しい事があったものだから珍しくワインをいただいたら、こんなになっちゃって…ね」
ゆっくりと歩みを進めながら女性が柔らかく微笑む。
「そうなんですね。
私もあまり強くないのでお気持ちわかります。
飲めないけど、嬉しいとついすすんじゃいますよね！」
そう言って、私より更に小柄な女性の腕を支えてゆっくりと進む。
レストルームを出ると、
恐らく心配で様子を伺っていたんだろう、ウェイターが駆け寄ってくる。
「お客様、大丈夫ですか？」
「あ、ああ、ごめんなさいね、心配かけて…」
そして、ウェイターは次に私に向き直り
「お客様、ありがとうございます。ここからはわたくしがお連れいたしますので…」
そう言って頭を下げ、女性の手を取ろうとする。
それは至ってあたり前の行動なんだけど、
(私も客だし)
でも
この物腰の柔らかい女性の側が居心地が良くて、少し残念に思いながらその手を離そうとした。
すると、女性がその私の手をギュッと捕まえる。
「…お気遣い、どうもありがとう。でも、ごめんなさいね、私、このお嬢さんに連れていっていただきたいの」
そう、ウェイターに告げて私に振り向き、
「お嬢さん、お願いしてもいい？」
そう言って微笑む姿が本当に可愛らしくて、思わず
「もちろんです！」
私も満面の笑みで返していた。
ウェイターが頭を下げる横を、再び女性の腕をとり、支えながら進む。
「こちらなのよ」
道案内されて進む先は個室ゾーンだ。
一番奥の部屋の前まで行き、彼女が扉をあける。
中はさほど広くはないけれど、すっきりとした木目調の調度が並び、落ち着いた雰囲気だ。
真ん中のテーブルを囲むようにチェアがあって、
その一つに座っていた男性が私たちに気がついて振り返った。
「瑞分遅かった…な…」
思いがけず余計な人間がいることに驚いようだ。
「あなた、ごめんなさいね。
お手洗いで気持ちが悪くなって動けなかった時にこのお嬢さんが声かけてくださって！
介抱してここまで連れてきてくれたのよ！」
ご主人らしいその人物が立ち上がって全身をこちらに向けた。
私はぺこりと頭をさげる。
「これはこれは、家内がお世話になりました。どうもありがとう」
ご主人らしき人物がそう言って、頭を上げた私と目があった。
ご主人の目が、私を凝視する。
★★★
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ゆうの(プロフ) - Keeさん» コメントありがとうございます(*^^*) パスワードはコミュにメッセージしますので、覗いてみてください〜(*^^*) (2017年9月23日 12時) (
レス) id: 58e1bcc9d5 (このIDを非表示/違反報告)
Kee(プロフ) - はじめまして。最近になって読み始めましたが、とても楽しく読ませていただいてます。パスのかかったセンイル企画のお話も是非読んでみたいので、パスワードを教えてください。よろしくお願いします。 (2017年9月23日 12時) (レス) id: 3b75f4b9a6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうの(プロフ) - まゆまゆさん» ユノくん最大の敵(の予定)、御曹司登場致しました！ユノくん、踏ん張りどころです！(*^^*) (2016年2月14日 7時) (レス) id: b73f13763a (このIDを非表示/違反報告)
まゆまゆ(プロフ) - やっぱりブッ込んで来たー！ユノくん！頑張って！ (2016年2月14日 0時) (レス) id: ed4a5e3eae (このIDを非表示/違反報告)
ゆうの(プロフ) - かえるさん» かえるさん、出ましたーー！お待たせしましたーー！ん？待ってない？？ (2016年2月13日 20時) (レス) id: b73f13763a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうの
| 作成日時：2016年1月21日 18時
