本心 ページ35
♫
「ビクトリアさん！」
呼ぶ声を無視して進んでいく彼女。
「待ってください！」
思わず掴んだ彼女の腕は、びっくりするくらい細かった。
「…どうして引き留めるの」
彼女は私を見ることなく、呟いた。
「無理をしないでください…！
明日、本番ですよね？体調整えないと！
まずは、ごはん！食べましょう！！
もし、カレーが嫌ならほかのものも準備できますから！」
掴んだ腕を振り払うことをしないのか、できないのか、
彼女の本当の意思はわからないけれど、完全な拒否ではないことがわかる。
「なぜ…私のことを気にするの…私のこと、嫌いでしょ？」
少しだけ、こちらに顔を向けるものの、やはり目は合わない。
「…トンペンとしては…まあ、あなたに良い印象を持っている人はいないとは思いますけど…」
チャミペン、とは言えなかった。
「でも、人として、そして皆さんと同じ道を行く仲間としては、応援したいとは思います。
まだ、勉強中の身ですけど、皆さんの努力や頑張りの凄さはわかってきているので、私でできることなら応援したいんです」
私自身、そうやって応援してもらってここまで来れているから。
恩を返したいし、送りたい。
「だから、私の作ったものでも良ければ、食べていってください。
皆さんもそのほうが安心すると思います」
そう言って、廊下の先、リビングの入り口に目を向けると
ドアの周りをぐるっと一周するように皆さんが貌を出してこちらを伺っているのが見えた。
その様子を見たビクトリアさんがクスッと笑う。
「さあ！皆で食べましょう！」
私は声を張って、そして彼女の腕を掴んだままリビングへと歩き出す。
彼女は、ゆっくりではあるけれど抵抗なく着いてきた。
『ひょっとして寝てたの？ビクトリア』
『お前、最近顔色冴えなかったからなぁ』
『大丈夫か？』
『とりあえず、ヌナカレー食べれば元気出るぞ！』
『そうそう！まずは食べないとな！』
リビングについてお兄さんたちへ彼女を引き渡すと
皆が口々に韓国語で何かを話しかけるから
きっと、心配の言葉をかけているんだろうとその温かな空気感で感じる事ができた。
彼女のことは、あとはお兄さんたちにお任せしよう。
そう思い、私は急いでキッチンに向かいカレーの準備に入る。
♫
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 125人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆうの(プロフ) - けぃたんさん» ありがとうございます。ただただ、回復を、本人の頑張りを信じるだけです。 (6月4日 6時) (
レス) id: ec52b16ce2 (このIDを非表示/違反報告)
けぃたん(プロフ) - ゆうのさん。ビックリしました。娘さんの容態が良い方向に向くように祈っています。今はまだ落ち着かないとは思いますが、無理はなさらないようにしてくださいね。 (6月3日 22時) (レス) @page39 id: 17b7ddcd96 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうの(プロフ) - Kaoru26さん» ありがとうございます(*^^*)先は見えてるので頑張って進めますね〜！ (2023年4月4日 22時) (レス) id: ec52b16ce2 (このIDを非表示/違反報告)
Kaoru26(プロフ) - あわわ、ごめんなさいゆうのさん更新本当に楽しみにしてます、ありがとうございます〰️ (2023年4月4日 21時) (レス) @page31 id: 6233d11971 (このIDを非表示/違反報告)
Kaoru26(プロフ) - ゆうのさん (2023年4月4日 21時) (レス) @page31 id: 6233d11971 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆうの
| 作者ホームページ：https://ameblo.jp/kanayunho
作成日時：2022年10月20日 19時
