見えたもの ページ10
☆☆☆
私の言葉に、翔さんは静かに頷いた。
「………うん…そうだな」
「もちろん…
共白髪のおじいちゃんおばあちゃんになってから…平均寿命的にも先に逝っちゃう廉の手を取って見送るのが理想だったけどさ」
「ブッ！なんだそりゃ！おおっと…！」
吹き出した水で汚れたカウンターを、翔さんは慌ててダスターで拭きまくる。
私も自分のグラスとペットボトルを避難させつつ、構わず続けた。
「理想はそうじゃない？
さだのまさにぃだってそう言ってるじゃない。
俺の手を取り、涙を流せ、って！」
「……お前、意外と古風なのな…」
「そう？
まぁ…要は側にいて…最後の最後までそばにいたい、一人にしたくない、って事なんだけどさ…
だけど……それが叶わないなら…
私が、そばに居られないなら……廉が私の
ピタリ、とカウンターを拭く翔さんの手が止まる。
「…お前、今さらりとのろけたな？…?」
そう言って私を見る翔さんの目が笑う。
「だって、本当だもん！
廉からの最初で最後のラブレターには私への愛がいっぱいつまってたからね！」
まだ、読んでは泣けてしまうけど
あれは私にとって最強のお守りなんだ。
「そうだな。あれは本当に奇跡だった…」
「…うん」
「最初の滑落で廉が見つからなかったのも不思議だったけど…
このタイミングでほとんど変わらないポイントで見つかった事…
そして…………あの時、お前の側にはたまたまオフだったユノがいた事」
翔さんの言葉に
さっきとはまた違う、胸の痛みを感じた。
「……そうだね。
私1人じゃ…こんな短期間で乗り越えられなかった」
「うん。
だからさ、本当に人生ってタイミングだよな！そして必然なんだよ！無駄な事はないって事だ！
だからな、A！」
「はい？」
「お前はちゃんと次の恋をしろよ？！」
「………は？」
思いがけない着地点に、目が丸くなった。
「俺が言いたい結論はコレ！
ようやく廉を認められたんなら、次へ進め！
あいつもそれを望んでる！」
翔さんの言葉に
笑顔の廉と
その背後に広がる青空の向こうに
ユノが見えた気がした。
☆☆☆
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 521人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「東方神起」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆうの(プロフ) - のこさん» ユーミン世代ではありますが、知らなかったっす！ (2020年7月31日 13時) (
レス) id: 253e460f3e (このIDを非表示/違反報告)
のこ(プロフ) - 廉さんの話が出るといつも星空のクライマーを思い出します… (2020年7月30日 21時) (レス) id: 72bf88ec29 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうの(プロフ) - かえるさん» いつもありがとうございます(*^^*) そろそろ、大波が来ますしね… (2020年4月18日 18時) (レス) id: 253e460f3e (このIDを非表示/違反報告)
かえる(プロフ) - 新章ありがとうです♪そっか〜こちらも動き始めますか♪どう動いて行くのか楽しみです (2020年4月16日 23時) (レス) id: f095ecfa37 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうの(プロフ) - のこさん» あちらが少し落ち着いたので、こちらも少しずつ……(￣ー￣) (2020年4月16日 14時) (レス) id: 253e460f3e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆうの
| 作者ホームページ：https://ameblo.jp/kanayunho
作成日時：2020年4月16日 9時
