九秋審神者、黒本丸を立て直す 終

第217話 ページ31

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──は、と息を吐くと、白い煙が空に逃げていく。
鼻をすすると冷たい空気が入り込み、鼻腔が痛んだ。

…あれから、一か月。
今度こそ、正式にこの麝香連理草城の審神者となった僕は、本格的な立て直しを進めた。
刀剣男士たちはみんな手入れを終えたし、元々本丸の設備もしっかり管理されていたおかげで、肉体労働はほとんど必要なく、主に書類仕事をして過ごしている。

ちなみに、別の本丸から飛ばされてしまった村雲江だが、彼は無事に元居た本丸に帰すことができた。
あの時の予想通り、彼の主は椿さんと共に睡蓮を調べ、結果遡行軍に攫われた討伐課第二班の班員の男だったのである。

彼は遡行軍本丸に突撃した際に発見し、霊力の減少や栄養失調などの症状が見られたものの、無事だったらしい。
ずっと捜索願を出していたのに見つからなかった村雲江が見つかって、彼も大層喜んでくれた。
…まぁ、この村雲江が見つからなかった理由は、二代目が政府に通報しなかったせいなんだけど。

その二代目が通報しなかった理由は、睡蓮から守るためだったようだ。
一度秘密だらけの本丸に迷い込み、そこから脱したとなれば、何か情報を抜き去ったかもしれないと不安を抱いて村雲江に危害を加えたかもしれない。

わざわざ呪いをかけて顕現を維持させたのも同様の理由で、村雲江はこの本丸の男士だと言い張り、妙な探りを入れさせないためだった。
本当に不器用で、それでいて徹底しているななんて、すべてを把握した時に加州とこっそり苦笑した。

そしてそれからは、いろいろな手続きやらの事務処理に追われつつ、再び男士たちを戦に送り出すことができるようになった。
ずっと本丸にこもりっぱなしで、衝動を持て余していた者たちも存分に刀を振るい、己の本分を果たしている。

けれど、中傷になったら即撤退する方針でやっているのに、一部嫌がる男士が出てきたので、一度しっかり怒って言い聞かせるなんてこともあった。
…どうにもそれが、初代の時にもあったようで、それを思い出したみんなを別の意味で泣かせてしまったけれど、それ以降無理な進軍をしなくなったので一安心である。

そして…現在時刻、朝の六時。
すっかり冬に近づいたこの頃は、あれほど真っ赤に彩られていた木々も枯れ、寒々しくなっている。
そんな朝の冷えた空気の中、僕はいつもの白衣と袴の装束の上にはんてんを羽織って、赤くなった手をさすりつつ正門前の落ち葉を箒で掃いていた。

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