第190話 ページ4
恐らく元帥が解呪してくらたらしいということを長義たちに話していると、遠くから小面の少女が駆けてきた。
相変わらず仮面で表情の見えない彼女だが、いつも綺麗に流している胡桃色の髪が乱れていることから、随分心配をかけたらしいことが窺える。
今度スイーツでも奢るか…と思いながら片手をあげて答えようとすると、彼女は僕を通り過ぎてその先にいた人物に抱き着いた。
「椿さぁ〜ん！無事で本当によかったですぅ！
澪、すっごく心配したんですよぉ!?」
「おー、よく時雨を連れてきてくれたな、澪。偉いぞ」
「えへへっ。澪、椿さんのためなら、天国だろうが地獄だろうが行けちゃいますから…♡」
甘ったるい猫なで声で椿さんに縋り付く澪ちゃんに、僕は行き場のなくした手をひらひらと振る。
そうだ…澪ちゃんは椿さん信者なのだ。
当然、僕より椿さんを優先するに決まっている。
少しだけ悲しんでいると、太陽のような笑みを浮かべた太鼓鐘に「元気出せ！」と慰められた。眩しい…
またたびに酔う猫のように椿さんに澪ちゃんがすりすりしていると、やがて宗近が面白くなさそうな顔で椿さんを後ろから抱きしめた。
それに気づいた澪ちゃんは、負けじと正面から腰に抱き着いている。
「小娘よ…あまり椿を困らせるでないぞ？」
「うふふ、面白いことをおっしゃるんですね三日月宗近。先輩を守れなかったあなたに、どうこう言われる筋合いありませんが？」
バチバチと二人の間で、激しい火花が散る。
あの二人、椿さん大好きなところと、独占欲強くて嫉妬深いところ本当に似ているんだよな…
そのせいで、顔を合わせるたびに言葉の刃で互いをチクチク刺しているのだが、二人は政府にいることも多く、もはやそのやり取りはこの中央軍部の名物と化していた。
その様子を見ていてふとあることが気になり、珍獣を見るような目で彼らのやり取りを見ていた加州にこそりと耳打ちする。
…たぶんそういう目をしている理由は、天下五剣と対等に言い合える人間が珍しいからなんだろうけど…
「ねぇ、加州。うちの三日月もあのくらい嫉妬深い？」
「えっ、いやー…うちはそんなことなかったかな。
みんなに愛されてる主が好きって感じだったし」
「だが、妙な時に拗ねることはあったぞ」
「そうそう、主の寝癖を指摘した時とかなー。
"俺が最初に見たかった"とか言って」
「あまりじじいをいじめないでくれ…」
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寒蘭(プロフ) - レイラさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けて嬉しい限りです(*´Д`*)これからも頑張ります！！ (4月18日 18時) (
レス) id: 69f96811e5 (このIDを非表示/違反報告)
レイラ(プロフ) - 初コメ失礼します！結論から言うと泣きました…。いやもう、設定から二代目の事からすごくよく考えられてて凄いなと！！！久しぶりに一気読みしてしまいました。ありがとうございます！番外編も楽しみに読ませてもらいます！ (4月18日 1時) (レス) @page34 id: 99fac2651d (このIDを非表示/違反報告)
寒蘭(プロフ) - 千珠さん» 千珠様、たくさんお褒め頂きありがとうございます〜！(*>д<*)楽しんでくださったのでしたら、私としてもこの上ない幸せです！これからも頑張ります！！ (2月16日 19時) (レス) id: 69f96811e5 (このIDを非表示/違反報告)
千珠 - 語彙力がなさすぎてなんてコメントすればいいかあれなんですけど、本当に最高でした！！(語彙力なくてごめんなさい)後日譚の方にも顔を出しに行きます！！お体の方も気を付けながら頑張ってください！！ずっと応援しています！！！ (2月16日 12時) (レス) id: 0eaf370a5f (このIDを非表示/違反報告)
千珠 - 初めまして！初コメ失礼します！この作品を読んでいっき見してしまいました、千珠といいます！寒蘭様の描く物語がとても私の好みドストライクで最高でした！！まさか夢主の父がおじいちゃん(三日月)だったとは…親子の感動の再開の場面で泣きそうになりました… (2月16日 12時) (レス) id: 0eaf370a5f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寒蘭 | 作成日時：2023年12月14日 21時
