第216話 ページ30
そう言って盃を呷る三日月は、かなりのハイペースで飲んでいるはずなのに酒臭くなくて、それがしばらくの間宴席を外していたことを示している。
「もう…なんでついてきちゃうかなぁ」
「いやなに、お前の様子がおかしかったものでな…
また何か一人で危険を冒すつもりではなかろうかと、心配になったのだ」
それを言われてしまっては、ぐぅの音も出ない。
完全に僕の自業自得、日ごろの行いのせいだ。
加州に申し訳ない…とうなだれていると、三日月は楽しそうに僕の頭を撫でつける。
「安心しろ。誰にも言わん」
「…そういう問題じゃなくてさ」
はぁ…と深いため息をついてから、テーブルの上に無造作に置いてあったぶどうジュースを手に取って、やるせない気持ちと共に一気に飲み干した。
しかし…"席を外す前の僕、こんなにぶどうジュース残してたっけ？"と違和感に気づいたと同時に訪れた、強烈なアルコール臭に顔をしかめる。
これ、ぶどうジュースじゃない…ワインだ！
「うぇっ…まっっっず…!!
誰か僕のぶどうジュース取り換えた!?」
「え？あっ！ご、ごごごめん！それ僕のだ！
なんか甘いな〜と思ってたら、席移動する時に取り違えちゃったみたい…」
少し遠くの席で長船派の面々と飲んでいた燭台切が、突然響いた僕の絶叫に気づいて慌てて駆け寄ってきた。
まさかの犯人が燭台切だとは…しかもうっかり。
母様が言ってたな…うちの燭台切はドジっ子で可愛いって…しかも本刃はそれを気にしてて、どうすればかっこよくなれるか試行錯誤してるから、余計に可愛いって言ってたな…
いや、ふざけて"きみも大人の気分を味わえたまえ"とか言って、ワイングラスにぶどうジュースを注いで渡してきた鶴丸が一番悪い気がする。
飲めるなら何でもいいかと普通に受け取ってしまったけど、こういう事態を想定するべきだった。
どんどんふわふわしていく頭にこりゃだめかも…と寝そうになっていると、突然騒がしくなったことに気づいたのか、どこからか歌仙がやってくる。
状況を把握した歌仙は、鬼のような形相で辺りを見回した。
「誰だい、ワイングラスに入れたぶどうジュースを主に渡したのは！」
「つーるまーるでーす」
「鶴丸国永…貴様ァ…！」
「ままま待てっ落ち着け歌仙！
まだ足の痺れが取れてなっ…
アァーーーーーッッッ!!!!」
鶴丸の絶叫を最後に、僕はまどろみの中へと意識を閉ざすのだった。
お酒は二十歳になってから…。
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寒蘭(プロフ) - レイラさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けて嬉しい限りです(*´Д`*)これからも頑張ります！！ (4月18日 18時) (
レス) id: 69f96811e5 (このIDを非表示/違反報告)
レイラ(プロフ) - 初コメ失礼します！結論から言うと泣きました…。いやもう、設定から二代目の事からすごくよく考えられてて凄いなと！！！久しぶりに一気読みしてしまいました。ありがとうございます！番外編も楽しみに読ませてもらいます！ (4月18日 1時) (レス) @page34 id: 99fac2651d (このIDを非表示/違反報告)
寒蘭(プロフ) - 千珠さん» 千珠様、たくさんお褒め頂きありがとうございます〜！(*>д<*)楽しんでくださったのでしたら、私としてもこの上ない幸せです！これからも頑張ります！！ (2月16日 19時) (レス) id: 69f96811e5 (このIDを非表示/違反報告)
千珠 - 語彙力がなさすぎてなんてコメントすればいいかあれなんですけど、本当に最高でした！！(語彙力なくてごめんなさい)後日譚の方にも顔を出しに行きます！！お体の方も気を付けながら頑張ってください！！ずっと応援しています！！！ (2月16日 12時) (レス) id: 0eaf370a5f (このIDを非表示/違反報告)
千珠 - 初めまして！初コメ失礼します！この作品を読んでいっき見してしまいました、千珠といいます！寒蘭様の描く物語がとても私の好みドストライクで最高でした！！まさか夢主の父がおじいちゃん(三日月)だったとは…親子の感動の再開の場面で泣きそうになりました… (2月16日 12時) (レス) id: 0eaf370a5f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寒蘭 | 作成日時：2023年12月14日 21時
