第210話 加州清光の追憶�� ページ24
勝手に動くな、首を落とされたいのかと言おうとしたところで、低木から出てきた二代目の手に乗るものを見て硬直する。
それは…どこからどう見ても、小型のカメラだった。
『んー…よしよし、ちゃんと撮れてんな』
呑気にカメラの映像を確認する二代目だが、そこからは先ほどまでの二代目と睡蓮がしていた会話が、はっきりと流れている。
どういうことだ。一体何の目的で、そんなものを記録しているんだ。というか、こんな理性的で物静かな男が、本当にあの二代目と同一人物なのか？
『どう…して、そんなこと…』
様々な疑問がぐるぐる回る中、必死に乾燥した喉を震わせると、二代目は感情の抜け落ちた顔のまま椅子に腰かけ、語り始めた。
『俺は元々孤児でな…親に捨てられて、孤児院で育てられて…そこを、審神者の資質があるっつって、あの人が拾ってくれたんだ。
あの人はいい人だった。優しくて、それでいて厳しくて…俺の第二の父親みたいなもんだ。
だから、逆らえなかった。あの人の間違いを、正してやれなかった。そのせいで、たくさんの審神者が犠牲になった。この本丸の、先代も…
遅くなっちまったが、ようやく決心がついたんだ。
あの人と共に、地獄に落ちる決心が』
…そう言って力なく笑った二代目の顔を、今でも鮮明に覚えている。
二代目は、本丸に就任してから睡蓮との密会の様子を記録したり、歴史修正主義者と交わした契約の書面を秘密裏に残したりして、少しずつ己の父とも呼べる存在を引きずり落とす準備を進めているらしかった。
『なんで…それじゃあなんで、俺たちにこんな酷い事するんだよ…！言ってくれれば、協力するのにさぁ！』
単独でどうにかしようとするその姿が、どこかの偏屈じじいのことを連想させて、思わず詰め寄った。
けれど、二代目は東屋から遠くの美しい庭を眺めたまま、浅く首を振る。
『この本丸全体が敵だとなれば、あの人は確実にここを潰しに来る。お前たちを失うわけにはいかねぇ…"敵を騙すにはまず味方から"ってよく言うだろ？』
『っじゃあ手入れだけでもしてよ！どうしてわざわざ俺たちに嫌われるような真似するんだよ！情報集めるだけなら、そんなことする必要ないだろ!?』
胸倉に掴みかかって、必死に揺さぶる。
資材のために身を削り続ける仲間を見るのは、もう我慢の限界だった。
しかし…二代目は、そんな俺の手を掴み返した。
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寒蘭(プロフ) - レイラさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けて嬉しい限りです(*´Д`*)これからも頑張ります！！ (4月18日 18時) (
レス) id: 69f96811e5 (このIDを非表示/違反報告)
レイラ(プロフ) - 初コメ失礼します！結論から言うと泣きました…。いやもう、設定から二代目の事からすごくよく考えられてて凄いなと！！！久しぶりに一気読みしてしまいました。ありがとうございます！番外編も楽しみに読ませてもらいます！ (4月18日 1時) (レス) @page34 id: 99fac2651d (このIDを非表示/違反報告)
寒蘭(プロフ) - 千珠さん» 千珠様、たくさんお褒め頂きありがとうございます〜！(*>д<*)楽しんでくださったのでしたら、私としてもこの上ない幸せです！これからも頑張ります！！ (2月16日 19時) (レス) id: 69f96811e5 (このIDを非表示/違反報告)
千珠 - 語彙力がなさすぎてなんてコメントすればいいかあれなんですけど、本当に最高でした！！(語彙力なくてごめんなさい)後日譚の方にも顔を出しに行きます！！お体の方も気を付けながら頑張ってください！！ずっと応援しています！！！ (2月16日 12時) (レス) id: 0eaf370a5f (このIDを非表示/違反報告)
千珠 - 初めまして！初コメ失礼します！この作品を読んでいっき見してしまいました、千珠といいます！寒蘭様の描く物語がとても私の好みドストライクで最高でした！！まさか夢主の父がおじいちゃん(三日月)だったとは…親子の感動の再開の場面で泣きそうになりました… (2月16日 12時) (レス) id: 0eaf370a5f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寒蘭 | 作成日時：2023年12月14日 21時
