第209話 加州清光の追憶�� ページ23
──俺がそれを見つけたのは、本当にただの偶然だった。
今から六年前。初代審神者が失踪して、九年が経った頃。
ようやくあてがわれた二代目の審神者は本当に最低のクズ野郎で、俺たちは日々あいつの暴挙に不満と恐怖を抱きながらも、きっといつか初代が帰ってくると信じて耐え忍んでいた。
しかし、不幸にも俺は二代目に気に入られてしまった。
二代目が就任してすぐの頃から、俺はずっとあいつの近侍として、そばにいることを求められた。
度重なる遠征や出陣で疲弊し、負傷しても手入れしてもらえない仲間たちがまた戦に向かうのを見送って、これ以上黙っていられない、たとえ折られてもいいから抗議せねばという覚悟で、俺以外の刀剣男士がほとんど不在の本丸の中を進んだ。
そんな時だ…二代目と政府の人間の密会を目撃したのは。
本殿から少し離れたところにある、小さな東屋。
普段はほとんど使われないはずのその東屋に見慣れない人影を見つけて、俺はバレないようこっそり近づいた。
そこでは二代目と、見知らぬ政府の男──今考えると、あれは睡蓮だった──が、何やら声を潜めて怪しく喉奥で笑っていた。
そこで繰り広げられた会話に、俺は大きな衝撃を受ける。
曰く…初代は、睡蓮の手引きで遡行軍に連れ去られ、二代目はコネを使ってこの優良本丸に就任した、と。
は？え、何？先代が、主が、俺たちの主が…
こんな人間たちの手によって、敵の手中に堕ちた？
そのことを理解した途端、はらわたが煮えくり返る。
頭の奥がぐわりと熱を帯びて、握り締めた拳に血が滲んだ。
俺たちの主が。可愛くて大好きな主が。
唯一の宝は、消えたのではなく、奪われた。
乱れそうになる呼吸を必死に整え、息を殺す。
話し終えた二人が席を立ち、睡蓮がいなくなるのを見計らってから、飛び出して二代目の首に刀を添えた。
すぐに殺しはしない。主の居場所を聞き出さなきゃいけないから。
…そう思っていたのに。
『加州…悪いが、俺を殺すのは、すべての準備が整ってからにしてくれねぇか』
背後から刀を突きつけて、まだ声も出していないと言うのに名前を当てられて、わずかに動揺する。
まさか、最初から盗み聞きしていることがバレていたのか？
そう思って動けずにいると、二代目は構わず勝手に動き出して、東屋の周りに植えていた低木の一つに手を突っ込んだ。
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寒蘭(プロフ) - レイラさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けて嬉しい限りです(*´Д`*)これからも頑張ります！！ (4月18日 18時) (
レス) id: 69f96811e5 (このIDを非表示/違反報告)
レイラ(プロフ) - 初コメ失礼します！結論から言うと泣きました…。いやもう、設定から二代目の事からすごくよく考えられてて凄いなと！！！久しぶりに一気読みしてしまいました。ありがとうございます！番外編も楽しみに読ませてもらいます！ (4月18日 1時) (レス) @page34 id: 99fac2651d (このIDを非表示/違反報告)
寒蘭(プロフ) - 千珠さん» 千珠様、たくさんお褒め頂きありがとうございます〜！(*>д<*)楽しんでくださったのでしたら、私としてもこの上ない幸せです！これからも頑張ります！！ (2月16日 19時) (レス) id: 69f96811e5 (このIDを非表示/違反報告)
千珠 - 語彙力がなさすぎてなんてコメントすればいいかあれなんですけど、本当に最高でした！！(語彙力なくてごめんなさい)後日譚の方にも顔を出しに行きます！！お体の方も気を付けながら頑張ってください！！ずっと応援しています！！！ (2月16日 12時) (レス) id: 0eaf370a5f (このIDを非表示/違反報告)
千珠 - 初めまして！初コメ失礼します！この作品を読んでいっき見してしまいました、千珠といいます！寒蘭様の描く物語がとても私の好みドストライクで最高でした！！まさか夢主の父がおじいちゃん(三日月)だったとは…親子の感動の再開の場面で泣きそうになりました… (2月16日 12時) (レス) id: 0eaf370a5f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寒蘭 | 作成日時：2023年12月14日 21時
