第188話 ページ2
肩に添えられた元帥の手から、霊力がどんどん吸い取られていく。
彼の覇気が薄れたと思っていたのは、先ほどより霊力が減っていることが原因のようだ。どうやら、ここに来る前にこの施設の周囲に巨大な結界を張ってきたらしい。
相変わらず睡蓮たちの霊力は胸焼けしそうだけど、元帥が加わってくれたおかげで吸収速度があがる。
このまま行けば大丈夫なはず…！
しかしその時、鬼は二度目の咆哮を上げた。
「グォオオォオォッ!!」
耳を
少し離れたこちらにも頭痛がするほど響いたのだから、彼らのダメージは相当なもののはずだ。
はっと顔を上げると、動きを止めた男士たちの隙を取り、こちらに向かってきた。
あと少しで霊力を奪い切れそうなのに…！
まだ咆哮の影響が続いているのか、三日月たちは頭を押えたまま鬼を止めようと走り出した。
鬼がこちら目掛けて駆けてくる一瞬、術を解除しようかと逡巡する。
けれど…視界の端に映った姿を見て、僕は腹を括りそのまま術の維持を続けた。
鬼がその太い腕を振り上げた──その時。
「はぁー…完全に出遅れたな。お前のせいだぞ、宗近」
「だが、おかげでこれを食い止められただろう？」
目の前に、二つの影が重なる。
それは振り下ろされた鬼の腕を受け止めると、息を合わせて鬼を薙ぎ払った。
鬼はその巨体を遠くの壁に打ち付けると、弱々しい唸り声を上げて動きを止める。
こちらを振り向いた二人を見上げるとそこには、先ほど見た時よりも少しくたびれている椿さんと、真剣必殺をした後のようにボロボロになった戦装束をまとう宗近が立っていた。
椿さんの手には刀帳に載っていない打刀が握られており、また宗近がスーツではなく本来の戦装束を着ていることにも驚いて目を見開く。
けれど札を咥えている今は声を出せないので、視線で二人を窺う。
すると椿さんは持っていた刀を肩に担ぎあげ、僕の後ろに回って元帥とは逆側の肩を掴んだ。
「聞きたいことはあるだろうが、今は集中しろ」
そう言って霊力を吸い始めた椿さんに頷き、残りの気力を振り絞って意識を集中させる。
壁に体を打ち付けた鬼はもうほとんど霊力が残っていないのか、低く呻きながら身をよじらせるばかりだ。
そして…その身は、みるみる鬼の形を崩し、煙に包まれながら三人の人間へと分離していった。
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寒蘭(プロフ) - レイラさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けて嬉しい限りです(*´Д`*)これからも頑張ります！！ (4月18日 18時) (
レス) id: 69f96811e5 (このIDを非表示/違反報告)
レイラ(プロフ) - 初コメ失礼します！結論から言うと泣きました…。いやもう、設定から二代目の事からすごくよく考えられてて凄いなと！！！久しぶりに一気読みしてしまいました。ありがとうございます！番外編も楽しみに読ませてもらいます！ (4月18日 1時) (レス) @page34 id: 99fac2651d (このIDを非表示/違反報告)
寒蘭(プロフ) - 千珠さん» 千珠様、たくさんお褒め頂きありがとうございます〜！(*>д<*)楽しんでくださったのでしたら、私としてもこの上ない幸せです！これからも頑張ります！！ (2月16日 19時) (レス) id: 69f96811e5 (このIDを非表示/違反報告)
千珠 - 語彙力がなさすぎてなんてコメントすればいいかあれなんですけど、本当に最高でした！！(語彙力なくてごめんなさい)後日譚の方にも顔を出しに行きます！！お体の方も気を付けながら頑張ってください！！ずっと応援しています！！！ (2月16日 12時) (レス) id: 0eaf370a5f (このIDを非表示/違反報告)
千珠 - 初めまして！初コメ失礼します！この作品を読んでいっき見してしまいました、千珠といいます！寒蘭様の描く物語がとても私の好みドストライクで最高でした！！まさか夢主の父がおじいちゃん(三日月)だったとは…親子の感動の再開の場面で泣きそうになりました… (2月16日 12時) (レス) id: 0eaf370a5f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寒蘭 | 作成日時：2023年12月14日 21時
