61(2024/02/14) ページ16
「まじかよ……」
櫻井さんが悔しそうにそう呟いた。
「すみません、少しよろしいですか？」
消防士さんに促された警察官と、おそらく刑事だろうな、って人が、私達の方に来た。
「はい」
「隣の部屋の方とは知り合いですか？」
「ええまぁ、一方的に」
櫻井さんがそう答えた。
「隣の部屋の方、大丈夫だったんですか？」
いてもたってもいられず、つい聞いてしまう。
「いえ、残念ながら……」
「そんな！必死で扉叩いて火事ですって叫んだのに逃げ遅れちゃったんですか？」
「いえ、そういうわけではなさそうで……」
「え？火事が原因なんですよね」
「……今はなんとも言えません」
櫻井さんが、私が借りて着ているコートの内ポケットにいきなり手を入れてきて驚愕した。
びっくりした、いきなり胸触られる？って思ったよ！まあいいんだけど！
澄ました顔で名刺入れを取り出した櫻井さんは、刑事さんに名刺を差し出した。
「私、こういうものです」
「弁護士さん」
「はい。実はとある依頼を受けまして、隣の部屋の撒アイコさんについて調べているところでした」
「撒アイコさん？その方が隣の部屋の人なんですね？」
「はい。一緒にいたのは革下マコトという男です」
「身元確認！急げ」
刑事さんが部下に指示した。
「二人はどういう関係なんですか」
「友人以上の関係だったと思いますが、彼女は既婚者ですので、まぁ言葉を選ばず言うと不倫関係で間違いないですね」
「既婚者？」
「はい。ご主人の名前は撒トシヒデさん。連絡先をお教えします」
「あー、不倫の調査でここに来られてたんですか？」
「いえ、別件です。詳しくはここではちょっと」
初めて聞くことに目を白黒させていたら、櫻井さんが私を見て気まずそうに笑った。
「そうですか」
「あの、火事が原因でないとすると自死か事件ですか」
「はっきりとしたことは言えませんが、火事の時点ではもう……という感じでしたね」
「……一目見てわかりました？」
「いえ、触ってわかったという感じで」
お互いにハッキリしない言い方するなとモヤモヤする。
おそらく、被害者の身元の確認に協力したから、状況をこっそり教えてくれた的なことなんだろうけど。
じゃないとこんなペラペラ話すわけないし。
刑事が私の方をちらりと見た。
「彼女は」
「私はこういうものです」
私も慌てて名刺を出して挨拶する。
「弁護士事務所の……経理主任……」
櫻井さんが私を見て目を丸くした。
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松本りいな - 完結おめでとうございます！脳内回転させながらいつも楽しく読ませていただいています♡よしのさんの作品を中学生から読み始めて、今年社会人になりました！これからも愛溢れる素敵な作品を待っています♡お身体お大事にしてください☺︎ (4月18日 23時) (
レス) @page50 id: 714d7c5eb5 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ(プロフ) - よしのさん、完結おめでとうございます。いつも楽しく読ませていただいています。この探偵シリーズで2人の進展がみられたら嬉しいです！短編でも長編でも楽しみにしています♡無の証明も好きです！いつも素敵なお話をありがとうございます。 (4月13日 23時) (レス) @page50 id: 4eca2027db (このIDを非表示/違反報告)
みず - 完結おめでとうございます！ご婦人の正体、最後までわかっていなくて、読んだ時私も一緒に汗が出てきました(笑)最近よしのさんを知り、過去作品を漁って日々楽しく読ませていただいています！ (4月9日 20時) (レス) @page50 id: 90243a1d25 (このIDを非表示/違反報告)
うぉーるなっつ(プロフ) - 完結おめでとうございます！そして素敵なお話をありがとうございます！なんとなく読んでいる中に様々な伏線があり、最後の終わり方含めさすがよしのさんです！！改めて頭から読み直そうと思います👏そしておふたりの探偵物語も首を長くしてお待ちしています！ (4月9日 20時) (レス) @page50 id: 9a0230b096 (このIDを非表示/違反報告)
奏稀(プロフ) - 完結おめでとうございます！最後の展開に興奮が止まらないです…！！素敵なお話をありがとうございました😊 (4月9日 12時) (レス) @page50 id: c1b9d68e3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2024年1月31日 12時
