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ロビーまで降りてその辺にいた従業員にご婦人を預けて、ついでに櫻井さんと私のコートをご婦人の旦那さんに預ける。
「寒いでしょうから着てて！」
「え、」
「戻ります」
「ちょ、」
制止の声を聞かずにまた階段を駆け上がる。
櫻井さんが降りてこない。
「櫻井さん！」
「A、手伝って」
櫻井さんが、煙を吸ったのか、意識朦朧としている男性を支えていた。
反対側に回って体を支える。
階段をなんとか降りて、振り返るともう結構な煙が充満してきている。
「一旦俺達も避難しよう！」
「……櫻井さん」
「どうした？！」
「アイコとマコトが部屋から出てきてないと思う」
「……」
櫻井さんが振り返って階段を駆け上がる。
私もついていくと、櫻井さんが叫んだ。
「Aは戻れ！」
「櫻井さんと一緒なら火の中水の中！」
「この状況でそれはシャレにならねー！」
口元を袖でおおって走って、アイコとマコトの部屋を開ける。鍵が閉まってる。
どんどんどん！
手でドアを叩いて、家事ですよ！って大声で叫んだ。
出てこない。
どうしよう。
「櫻井さん……！」
「もう限界だ、この人たちも逃げてると信じて俺らも避難しよう」
「はい」
戻る途中、小さい子どもの泣き声が聴こえた気がした。
そんなわけない。
そう思いながらも、声が聞こえた奥に走っていく。
「A！」
「誰かいますか！」
泣き声が大きくなった。
「……だれか」
助けを呼ぶ、かすかな声。
「どこ！誰かいるの？」
ボールが、ころころ、と転がるのを視界にとらえる。
走ってボールが転がってきた方を見たら、5歳くらいの男の子が泣きながら私を見た。
「いた！ほらこっちおいで！」
「ママがぁー！」
「ママ？」
櫻井さんが私を追いかけてきてその子供の方に駆け寄る。
「ママ？ママはどこ？」
「……」
子供が指差す方に、2歳くらいの赤ちゃんを抱いた女性が足を痛めたようでしゃがみこんでいた。
櫻井さんが駆け寄って、奥さんを起こす。
私が泣き叫ぶ小さい赤ちゃんを抱いて、5歳くらいの子と手を繋いだ。
櫻井さんが奥さんをおんぶした。
「僕、何歳？」
「ごさい」
「お名前は？」
「りょうた」
「ん、りょうたくん。かけっこ得意？」
「うん」
「じゃあ、お姉さんと一緒に走ろうね、階段はゆっくりね！」
「うん」
「かっこいいね！」
そう言いながら、りょうたくんと一緒に走る。
煙が充満してきて、涙が出てきた。ケホ。
咳を我慢して、外に飛び出した。
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松本りいな - 完結おめでとうございます！脳内回転させながらいつも楽しく読ませていただいています♡よしのさんの作品を中学生から読み始めて、今年社会人になりました！これからも愛溢れる素敵な作品を待っています♡お身体お大事にしてください☺︎ (4月18日 23時) (
レス) @page50 id: 714d7c5eb5 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ(プロフ) - よしのさん、完結おめでとうございます。いつも楽しく読ませていただいています。この探偵シリーズで2人の進展がみられたら嬉しいです！短編でも長編でも楽しみにしています♡無の証明も好きです！いつも素敵なお話をありがとうございます。 (4月13日 23時) (レス) @page50 id: 4eca2027db (このIDを非表示/違反報告)
みず - 完結おめでとうございます！ご婦人の正体、最後までわかっていなくて、読んだ時私も一緒に汗が出てきました(笑)最近よしのさんを知り、過去作品を漁って日々楽しく読ませていただいています！ (4月9日 20時) (レス) @page50 id: 90243a1d25 (このIDを非表示/違反報告)
うぉーるなっつ(プロフ) - 完結おめでとうございます！そして素敵なお話をありがとうございます！なんとなく読んでいる中に様々な伏線があり、最後の終わり方含めさすがよしのさんです！！改めて頭から読み直そうと思います👏そしておふたりの探偵物語も首を長くしてお待ちしています！ (4月9日 20時) (レス) @page50 id: 9a0230b096 (このIDを非表示/違反報告)
奏稀(プロフ) - 完結おめでとうございます！最後の展開に興奮が止まらないです…！！素敵なお話をありがとうございました😊 (4月9日 12時) (レス) @page50 id: c1b9d68e3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2024年1月31日 12時
