▼ ページ31
『…はぁ…?何を言ってるんです?』
「だーかーらー今度は僕とお見合いしようって言ってんの」
見慣れないスーツ姿で冷蔵庫からお茶と洋菓子を出して手招きしてくる。それ私のおやつだったのに。
「ほら座って?」
『…いやいやいや本気ですか?』
「これ美味しいね」
『ちょっと!!……はぁ』
渋々対面のこたつの中に入る。じんわり沁みる温かさに脚先がビリビリした。
乱歩さんは食べる手を止めて、相変わらず口角と目を釣りあげて笑っている。さっきまであれ程会いたかったのにやっぱり会いたくなくなった。
いつも唐突過ぎるのだ。私のおやつ…
「あ、これ結婚前提ね。僕Aが好き。あーやっぱり前提なし。結婚して?」
『………はい?』
「お見合いってどうやってやるのか知らないし何言われてきたのか知らないけど僕は絶ッ対今日会ってきた奴よりAの事好きだ」
『はい?!いやあのちょっと待って、何言ってるかわかってますか?』
「え?うん。分からないの?じゃあ身体に教えてあげようか」
机に置いてある私の手を撮って自然に薬指に口をつけた。怒涛の展開にくらりと目眩がする。
急いで手を引っ込めた私に、ちぇ、と舌打ちをした乱歩さん。ちぇじゃない!
『落ち着きましょ?また何かのイタズラですか?怒りますよ』
「はぁ?なんでそうなる訳?それに冷静でいられるわけないだろ。君が目の前で座ってるんだからさ」
この乱歩さんが私を好き?結婚?混乱している私を見て、愛おしそうな顔をする乱歩さんに顔が熱くなった。
この人本気だ。
『えっ…と…えっと、』
「ふふ、可愛い。」
『か、かわ、…いやいや、あの、でもどうして唐突に?』
「ん〜?…君って押されたら断れなくなるし先に婚約されたら困るからね。まぁ君が承諾することはないってわかってたけど、流石の僕も焦った。だって君会ってみたいとか云うし」
頬杖をついてぶつぶつ云う乱歩さんに少し胸が高鳴る。飄々としていつも掴めないような名探偵の裏話を聞けるのは面白い。
「その様子じゃ大して面白くなかったんだろ?じゃあ僕にしては好都合だよ。こんなの着てこなければ良かった」
『な、なんでスーツなんですか…?』
「…Aは本当に…んなの僕が対抗したいのと、君誠実な人が好きそうだからだよ」
『形から…入ったと?』
ちょっと顔を赤くしてそっぽ向く乱歩さんに私まで恥ずかしくなる。乱歩さんってこんな人だったっけ
…めっちゃ私の事好きじゃん
804人がお気に入り
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゅ - 1話の太宰さんの下の方から潰された蛙の様な声がするで笑ってしまいました、笑 (2023年4月22日 14時) (レス) @page2 id: 74e0460151 (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわありす(プロフ) - 初めまして。完結おめでとうございます!私は正直なところ今まであまり乱歩さんを意識したことがなかったのですが、この作品で沼にドボンしました……有難うございます!お疲れさまでした。 (2023年4月9日 23時) (レス) @page42 id: d368e0b18f (このIDを非表示/違反報告)
よる(プロフ) - 梅原さん» わわ、嬉しいです!一緒に乱歩さんの沼にはまり落ちましょう……!! (2023年2月20日 19時) (レス) id: 05f2309d58 (このIDを非表示/違反報告)
よる(プロフ) - モンブランさん» わー!嬉しい!ありがとうございます💕なかなか喋らせるのに苦戦してます…笑笑 (2023年2月20日 19時) (レス) id: 05f2309d58 (このIDを非表示/違反報告)
梅原(プロフ) - アニメ見て乱歩さんいいなと思っていた時にこの小説に出会いました。久々に面白いものが読めてテンションあがりました。。。 (2023年2月20日 19時) (レス) @page32 id: ecb93650e6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:小榛 | 作成日時:2023年1月8日 11時