滑舌がとてもよい先輩 ページ34
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「はい、お土産」
星座型のクッキーが入った星型の缶を、真っ白なベッドで本を読んでいた目の前の少年に差し出す。放課後の保健室。……と言ってもまだ空は明るい青色だ。
斉「わぁ!ありがとうございます!どこか行かれたんですか?」
「近くのテーマパークに、……と、友だちとね」
斉「……へぇ、そうなんですか。楽しかったですか?」
「うん。アトラクションとか、撮影スポットとか、お土産ショップとか。あんまりああいうところには行かないから、ついついはしゃいじゃった」
斉「いいですね、お友達と遊園地なんて。僕も行きたいなぁ」
「行こう」
斉「え…」
「行こうよ。私が連れてってあげる」
斉「………本当ですか?」
「もちろん、約束」
斉「………」
壮馬の前に小指を出すと、壮馬はギュッと私の手を包み込んで笑った。
斉「はい、いつか叶えてください、A先輩」
まるで、ずっと叶わない約束をするように。
まるで、永遠に守れないと分かっているように。
まるで、来ることのない未来の話をするかのように。
壮馬は悲しそうに笑った。
「………叶えるよ、絶対」
もう一度呟いて、反対の手で壮馬の白くて綺麗な手を握った。
女1「せんせー!話聞いてよー!」
櫻「おぉおぉ、どうしたー?」
ガラガラーっと保健室の扉を開けて入ってきたのは、緩いカーディガンを着たひとりの女子生徒。赤色のラインが入ったリボンタイだから、おそらく三年生。綺麗に整えられた眉を下げて、なにやら櫻井先生に相談に来たようだ。
女1「彼氏のことなんだけど、付き合ってもう二週間も経つのにぜんっぜん会ってくれないの!」
櫻「ほうほう」
女1「お弁当は一緒に食べてるんだけど、他クラスだから全然話せないし。デートしてても、計画立ててくれるんだけど、わざわざ地元から遠いところまで行くし。
あたしが教室に行くと『河野さん』って苗字呼び!いつもは『ミカちゃん』って名前で呼ぶのに!意味わかんなくない?!」
櫻「なるほど」
女1「最初は恥ずかしいのかなぁ〜って思ってたんだよ。割とあたしにしたら地味メンだし、しょうがないのかなぁって思ってたんだけどもう限界!友だちにも趣味悪いってバカにされるし、どうどうと付き合えないならもう別れる!!」
早口のまま声がどんどんと大きくなっていって、最後にはバンッと机を叩いた先輩。
櫻「………そういう事か」
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ななき。(プロフ) - 春さん» 春さん!いつもご覧くださりありがとうございます!こちらこそこれからもよろしくお願いします(^^) (2019年11月28日 18時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
春 - 続編おめでとうございます!めっちゃいいです!!これからも楽しみにしてます!(^-^) (2019年11月28日 17時) (レス) id: 10bd62f869 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななき。 | 作成日時:2019年11月27日 16時