夏の思い出【wrwrd】

#19 ページ19

zm「えっ、A！？」

「ありがとう…ありがとう！」

噛み締めるようにそう言うと、ゾムは笑った

zm「そんなに嬉しそうにされると…俺も期待するんやけど」

「何言ってんの！」

zm「え？」

「好きだよ、私もゾムが好きだよ！」

抱きしめたい。キスしたい。

この喜びを、ゾムに直接伝えたくて伝えたくて、それでも出来ないのを改めて悔しく感じた

zm「りょ、両思い…？」

「そうだよ、両思い」

涙で濡れた顔で思いっきり笑うとゾムは幸せそうに微笑んだ

zm「そういう所、昔から変わらへんな」

「え、昔…？」

zm「あ、いや何でもないで！！これ、夢ちゃうよな」

「ホントだよ、本当なんだよ」

zm「幸せすぎて死ぬわこんなん」

ゾムがその場にしゃがんで幸せ！と言い続けている

そんなゾムに合わせて私もしゃがみ込んだ

「大好きだよ」

zm「俺もやで」

「ねぇ、触れたいよ…」

貰った指輪を軽く撫でながら言ってみる
困るかな、嫌がるかな…なんて心配しながら様子を見てみれば微妙な顔をしたゾムが見えた

zm「俺も…触れたい」

「どうして、どうして触れないんだろう」

私達の間に風が吹いた

私の髪を乱し、ゾムの髪を撫でた

ふわりと揺れる髪に触れたいと、気持ちが止まらない。
こんなにも好きになったのに。自分で認めて、通じ会えたのに。

zm「Aと俺が永遠に一緒になる事は可能なんやけどな…その方法は多分、Aが望むものとちゃうから」

座り直し、また蛍を眺めだしたゾムがボソリと言う。

「何それ…？」

zm「俺と一緒に永眠すれば俺達は永遠に一緒でいられる…けど、そんなん、幼馴染とかみんな大好きなAからしたら辛いやろうし、俺もそうまでして一緒になりたいとは思わんから」

「そんな方法あるんだね」

zm「俺はそりゃAと居たいって思うけどな？Aの生活とか人生捨ててまで俺といて欲しいかって言われると、そうじゃない。」

「ゾム…」

ゾムが自分の左手の指輪にそっとキスを落とした。

zm「もし、普通の人間だったら…そう思ったら死にたくなるわ」

「それもいいかも知れないね」

zm「え？」

後先考えずにこんな事を言ってしまうのも、きっと恋の気持ちのせい。


「2人で死ねたら幸せかもね」

zm「A…」

「永遠に一緒なんて。素敵だよ」


私の瞳が儚げに揺れた


zm「夏祭りの日までに、どうするか決めてくれればええよ」

「ほんとに？」

zm「俺はAの決めた事がしたいから」

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