夏の思い出【wrwrd】

#18 ページ18

zm「ここやで！」

ゾムの案内によりたどり着いたのは出会った川

着いた時にはもう、たくさんの蛍が輝きながら飛んでいた




「綺麗………」

zm「せやろ？俺、これ眺めるの大好きなんや」

ほら、こんなに綺麗なところ俺見た事ない！とはしゃぎながらも大人しく川を眺めているゾムがその場に座り込んだ


「綺麗だね」

zm「うん、綺麗や」


綺麗、それ以外になんと言ったらいいのか分からなくなるほど、その蛍達は美しかった


zm「A、来年も俺とこの蛍見に来ようや」

蛍を眺めたままのゾムがぼそっと呟いた

驚いた私はゾムの顔を見るけれど、その視線は相変わらず蛍に向けられたまま。

本当にまつ毛が長くて綺麗なんだな
この横顔から目が離せなくなって、私達は出逢えた。
今でもゾムの横顔は息を飲むほどに綺麗だ。
蛍にも負けないくらいに。


「来年も来る、絶対一緒に見ようね」

zm「約束やで」

ふふっと微笑んだゾムの瞳は悲しそうだった



どうして、そんな悲しそうな瞳をしているの


その一言は口から発せられることはなく、体の中で溶けていった



zm「そうやった、俺Aに渡したいものがあってん」

「渡したいもの？」

zm「1年は確実に会えないわけやろ？それなら、俺の事いつでも思い出せるようにして欲しかってんw」

「何それ、すごいw」

2人で笑っていると、ゾムが目をつぶってと言った。
言われた通りにするとザッという足を引く音が聞こえる

zm「いいよ、目を開けて」

目を開けると同時に握られた手。そして跪いているゾム。


zm「Aは俺にとってお姫様やから…その、これ」

彼が震える手で私の指に指輪をはめた。

zm「A、愛してるで」

「っ…！」

指にはめられた指輪は小さな宝石が埋め込まれている、シンプルでとても可愛い指輪だった。
宝石の色は翡翠色で、ゾムの瞳にそっくりの色


zm「遠くへ行っても、ずっと俺の事覚えててな」

「当たり前だよ！そ、それよりも…」

綺麗な指輪と、ゾムを交互に何度も見る。
指輪が嬉しすぎて、さっきの言葉の意味が読み込めなくて、私は慌てていた。
そんな私を見てゾムが照れたように言った

zm「告白、やったんやけど…」

「ゾムが、私を好きなの？え！？」

ゾムは左手の革手袋を外し、きらりと光る指輪を見せた。

zm「おそろい」

「ゾム…」

ゾムが私を好きでいてくれたことが嬉しくて

指輪が嬉しくて

おそろいが嬉しくて

気持ち全てが嬉しくて



気がつけば私は大号泣だった

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