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【夢でもし逢えたら】03(弟) ページ7

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目が覚めたらそこは見慣れた私の部屋だった。


「・・・・・・変な夢だったな・・・」


夢にしてはリアルで、
でも現実にしては不思議な夢。

そう思いながら起き上がった時、
手に馴染めない感覚があった。

「あ・・・」

視線を落とした先、私の手首には
細い皮のブレスレット。



『今度夢でもし逢えたら、俺のこと覚えててほしいから』



あの言葉が鮮明に蘇って頭の中をリフレインする。


「弟者くん・・・」

小さく呟いてブレスレットに触れる。



「私、忘れてたんだよね・・・」

でも、弟者くんは覚えてくれていた。

なんだか申し訳ない気持ちになってペンを取った。

ノートに覚えている限りの夢の内容を記す。



「よし・・・これで忘れないよね」








その日もいつもと変わらない一日を過ごした。
そしてまた夜がやってくる。


ベッドに入る前、ノートを開いて夢の内容を確認。

「また・・・会えるかな・・・会えるよね」



再び夢で弟者くんに逢えることを想いながら
そっと目を閉じた。









ふわふわと不思議な感覚。
包み込まれるような温かさと柔らかさが心地良い。

『んー・・・』

ゆっくり目を開けるとベッドの中にいた。

布団を手繰り寄せぎゅっと抱き締めれば
ふわりとした触り心地と優しい香り。

『・・・・・・?』

ふと布団の中に温もりを感じて視線を横に向けた。

『!!?』

見覚えのある赤い髪が布団から少しだけ出てる。

気付かれないようにちょっとだけ布団をずらせば・・・

『弟者くん・・・』

ぐっすりと眠る彼。
ちょっといかつい顔立ちだと思ってたけど
寝顔は子供みたいに無垢に思えた。


(また会えた・・・
私、弟者くんのことちゃんと覚えてる)

嬉しい気持ちに感情が高ぶるけど
現状を理解すれば驚くほど冷静になってしまった。


(・・・・・・、私の寝てる布団に弟者くんも寝てる・・・)

そしてここは私の部屋じゃない。
ミッドセンチュリー調に統一された部屋。

(もしかしてここ・・・)

『ん・・・』

小さな声が耳をかすめる。

ゆっくり声をした方を向けば目を丸くした弟者くんと
視線が合った。




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設定タグ:2bro , 兄者弟者 , おついち   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:そすんさー | 作成日時:2018年3月12日 0時

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