【無題】06 (ページ12)

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【夢でもし逢えたら】05(弟) ページ12

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｢･････････｣

目が覚めたらそこは見慣れた自分の部屋だった。

手にはまだ
弟者くんの手の感覚があるような気だけがする。

そしてまた何事も無かったかのように1日が始まって
夜が来た。

ベッドに入ってふと、疑問がわく。

｢なんで覚えてなかったんだろ･･･｣

何度も見た夢の内容は全部覚えてる。
まるでホントの現実みたいに。

だけど前の夢は覚えていない･･･。

覚えておきたくない何かがあった･･･？

思い当たるのはそれくらいだ。

でも調べる術も、思い出す術もない･･･

｢あっ｣

ある！

｢弟者くんなら･･･！｣

弟者くんは前の夢も覚えてるみたいだった。
夢で会えたら聞いてみよう。

そう思いながら目を閉じた。

『･･････ここ･･･』

目が覚めた所は一面真っ白。
今までの夢の中とは何かが違う気がした。

『弟者くん･･･？』

弟者くんが見当たらない。
弟者くんどころか誰も、何も見当たらない。

何もない。

ただただ真っ白の世界が
どこまでも広がっていた。

『なんだろ、ここ･･･』

少し歩き始めるけど
進んでるのかもわからない。

『人だ･･･！』

しばらくすると向こうの方に人影が見えた。

近づいていけばよく知った顔。

『私･･･？』

弟者くんと並んでいるのは紛れもなく私。

二人は私に気づいてないのか
何か会話をしている。

“不思議だな、何度も夢で会うって”

“そうだね、何かあるのかな”

もしかして、前の夢を見てる･･･？
もう何が何だか分からなくなりそう。

“A、もし･･･___________________”

“____________”

うまく聞き取れない。

弟者くんの表情から
何か大切なことを言っているのがわかる。

だけど｢もし｣の後が
聞こえなくなってしまった。

そして、私の声も。

『あ･･･消えちゃう･･････』

目の前で、夢の私が消えていなくなってしまった。

残された弟者くんはどこか寂しそうに
誰もいなくなった空間を見ている。

ふと、弟者くんと目が合った。

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