Flowerwall (ページ9)

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「石川くん...」

石「花井さん...え、ごめんなさい急に座って」

石川くんの向こう側には柳田先輩が座っていた。

石「マサさんがそっちなんで座ったんですけど、誰か座りましたか？」

「え、あー」

古「サオリさーん！聞いてくださいよー！」

紗理那は後部座席に行ってしまった。

石「大丈夫ですかね」

「うん、はは」

そう思っていると前の席から一人乗り出してきた。
驚いて一瞬体が強張った。

高「花井さん！俺高橋健太郎って言います！」

「知ってます。筑波大の。同い年ですよね」

高「知ってくれてるー...もう死んでもいい...」

「そこまで？」

柳「そのままずっと黙っててくれ」

仲良いな男子。
そう思いながらスマホを見て、トーク履歴の一番上の相手"ゆうき"に返信する。

こっちも、隣も"ゆうき"
変な偶然。

石「そういえば花井さんとマサさんって知り合いですか？」

「...え、なんで？」

柳「たぶん花井さんが俺のこと柳田先輩って呼んでるからでしょ」

「あー」

柳「俺も最初呼ばれた時はちょっとびっくりしたけど。まぁ、話はよく聞くから」

割と自然に呼んでいたことに今気づいた。
そもそも直接的な関わりはないのに。

「それはあれですね、慶應のバレー部に彼氏いるんで」

高「えぇ！かれ「うるせぇ」

驚いて声をあげようとした高橋くんの口を、その隣に座っていた山内さんが塞いだ。

「自然と自分も先輩呼びが移っちゃって」

石「そうなんだ」

それ以上は突っ込まれなかった。私としてもあまり色々話すことでもないので、聞かれなくて助かった。

ゆうき疲れたでしょ。しっかり休みな

ありがとうと一言だけ返す。
深呼吸して視線を移すと、隣人に見られていたことに気がついた。

「どうしたの」

石「やっぱ時間なかったんだ」

「ん」

石「髪濡れてますよ」

「あー、さすがに無理だった」

石「風邪ひかないでくださいね」

くしゃっと笑った顔を少しだけ可愛いと思った。
人気が出るのも理解できる。

「気をつけます」

石「...せっかくお互い選ばれたんだし」

少しだけ耳を赤くしながら言う。
これは可愛いぞ。

「......そうだね」

自然と伸びた手を彼の頭に乗せた。男の子の髪ってこんなに柔らかいんだ、なんて。

「あ、ごめん。つい」

弟にする感覚でやってしまった。
相手。春高のスターぞ。

石「だ、大丈夫です」

花「あははー、ごめんね」

その後は口数も減り、私は疲れからうとうとしながらバスに揺られていた。

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