Flowerwall (ページ49)

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"FIVBワールドカップ2015、アルゼンチンとの開幕戦を勝利で飾った日本。今日は前半戦の山場とも言えるロシアとの戦いです"

緊張で足が震えている。
首元で光る金と銀の小さなリングを握りしめた。

"火の鳥NIPPONの登場です！"

歓声と眩いライトに囲まれて、アリーナへ。
名前を呼ばれ、コートへ足を踏み入れた瞬間、痛いほどに鳥肌が立った。

"今日は、女子史上最高の逸材と呼ばれる花井Aが起用されています。そのジャンプサーブは威力と正確なコントロールに定評があります"

試合開始のコールが鳴った。

日本リードで始まったロシア戦。

"9-4と、以前日本リードの展開。サーブは、これが初めてのワールドカップの花井です"

エンドラインから七歩。
ボールを腰の横に構えると、まるで走馬灯のようにイメージが浮かぶ。
マサさんのように力強くダイナミックに、祐希のようにしなやかに空高く。

深く息を吐けば、喧騒が聞こえなくなった。
高く上がったボール、流れる景色。

ど真ん中にジャストミート。

相手エースの足元を抜け、着地したボールはそのままコート後ろへと弾け飛んだ。
一瞬だけ、会場が静かになった気がした。

自分でも息を呑んだ。また鳥肌。
次の瞬間、轟音が耳をつんざく。会場の歓声だった。

"き...決まったぁー！！花井、鮮烈なワールドカップデビュー！会場が揺れたぁぁ！"

コート上の皆んなが私の方に振り向く。笑って叫んでいた。
無意識に右手が挙がった。
一番最初に駆け寄ってきたのは遥で、その後組んだ円陣では痛いほどにみんなに揺さぶられた。

"花井のサーブで日本の勢いがさらに加速します！花井の二本目のサーブ"

狙いは変えなかった。
さらにバックスイングが上がった気がした。

"二本目もサービスエース！！相手エースを確実に狙っています！！世界を切り裂くビックサーブ！！"

"この速度でミスをしない、ミスを恐れていないのが本当に恐ろしいですね"

"ロシア、ここで堪らずタイムアウトです"

木「A、たぶん次リベロがエースかばってくるよ」

サオリさんの言葉に頷いた。
数十秒のタイムが終わり、コートに戻る。
再びルーティン。

"花井、三本目...ジャンプサーブ、ではない...落とした！前に落としました！相手リベロは届かない！"

ジャンプフローターでのサーブは、後衛気味のレセプションで空いていたアタックライン上に落ちた。

"多彩なサーブ！花井が止まらないー！"

花「...ははっ！」

楽しい予感が堪らなかった。

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