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#47 ページ48



「はい!じゃあ今日の練習は終了です...
が!今日は我らがエース!花井Aの誕生日でーす!」

イェーイ!とチームメイトたちが声を上げ、歌を歌ってくれた。「ありがとうございます」と恥ずかしすぎてそれ以上言えなかった。

「いぇーい!ということで、花井は今から二部練にいってらっしゃい」

花「はい」

午後からは中央大の練習へ。
お祝いの余韻に浸る間も無く、一足お先に片付けを始める。

「花さーん!お迎えでーす!」

花「迎え?」

エントランスに行くと、そこにいたのは

石「誕生日おめでとうございます」

祐希だった。

花「なんで!?」

石「今日誕生日だし」

「いいなぁ、誕生日に石川祐希のお迎えだなんて」

花「この後練習で会うじゃん」

わかってないなこの朴念仁と、私の後輩が言いながら立ち去った。

石「...ぼ、朴念仁」

花「わ、笑うな」

移動しながら、今年の抱負を聞かれた。即答でワールドカップでメダルと答える。
祐希はブレてないなと笑った。

石「......そういえば今日ってよかったの?」

花「何が?」

石「誕生日なら、彼氏と予定あったとか」

そんな日に中央大の練習にまで行っていいのか、と言った。
おかしな間が生まれる。

花「...別れたよ?」

一年前と言うと、はぁ!?と声を上げる。
慶應と中央大の練習試合の日だ。
元はと言えばこの男が誘った、というのも多少原因だと考えている。

石「聞いてないよ!?」

花「...あれ?」

石「言ってないよね?」

言ってなかった。あの後マサさんと関田さんと飲みに行ってこの人には何にも話してなかった。

石「どーりで変だなと思ってたー」

間も無く練習場、というところで祐希はため息をつきながら座り込む。

花「そんな大事なことでもないでしょ」

石「......朴念仁」

花「なんなのもー、置いてくよ」

待って、と私の手を祐希が握った。

花「時間ないって」

石「...俺のこと、特別って言ったこと覚えてる?」

顔を下げたまま言う。少し弱々しい声で。
留学する時に彼に言った言葉だ。

花「...覚えてる」

握った手が少し強くなって、そして熱かった。

石「そのまま忘れないで」

花「え...わぁ!」

立ち上がった彼はそのまま私の手を引き、練習場へ行こうとする。

花「手は、手は離そう」

そう言って離すと、ちぇーと言って笑っていた。

その後開始された練習にて、誕生日を祐希によって暴露され、バースデーワンマンを受けることになるとはこの時はまだ思ってもいなかった。


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夏実(プロフ) - 実在する人物を題材としているのでオリジナルフラグを外しましょう (2019年11月10日 4時) (レス) id: caffb068cf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:松野 | 作成日時:2019年11月10日 2時

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