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私が打ったサーブは、相手コート内でレシーブに入っていた選手とサイドラインの間に吸い込まれていった。
コート内にバウンドしたボールはそのまま後方の壁に当たる。

「めっちゃ良かった今の」

思わず呟いてしまうほど納得がいった一本目。
転がってきたボールを拾い、さっきの位置に戻っていると、周りの視線が私に集まっているように感じた。

否、集まっていた。

「何今のサーブ」

先程私に場所を開けてくれた選手が呟く。

「な、何キロ!?何キロ出てるんだ今の!?」

「体感ですけど、男子レベルに相違するかと!」

監督、コーチやアナリスト陣、その場で練習を見ていた関係者達が一斉に騒ぎ出した。

古「Aさん...またサーブ早くなりました?」

「......早くなった」

古「アメリカで?」

「アメリカで...」

アメリカの選手はもっと速い。そしてもっと重い。
筋力で補えない分、最大出力で打てる条件は何かと研究した。
いかに速く空中でフォームを整えるか、どの角度でボールを捉えるのか、そのために自分の身体には何が必要か、一番こだわってきた。

「めっちゃはえー!!」

関係者がいる位置からはまた違うところから、野太い声が響いた。
頭上から聞こえた気がした。

振り向いて見上げると、見たことがある顔がちらほら。知り合いではなく、彼らも所謂スターだから私は知っている。

男子バレー日本代表のメンバーが、二階席にいた。
その中の一人と目が合う。

「...うわぁ、柳田選手」

あの人。
言わずと知れたサーブで名を馳せる選手。世界一フォームが美しい、そう言われる選手だ。

彼のサーブは何度も映像を見て研究してきた。ルーティンだって真似してる。

それを本人に見られたなんて、顔に血が集まる。

柳「......」

見つめ合うというか、私としては蛇に睨まれたカエルのような気分だった。

その後はジャンプサーブは数本にしておき、種類を変えて練習を続けた。

私のサーブは数種類。
最初にインパクトかつスピードのあるジャンプサーブで決め、次に変化をつけるジャンプフローター、長く伸びると思って後ろ気味に構えていると感じたらわざと前に落としてみる、またはその逆。

性格が悪いのは知っている。
でもその揺さぶりが大きく効くのも知っている。

古「これだからAさんとの試合はいつも嫌だったんだよ」

「結局はいつも勝つくせに」

古「そうじゃなくて、遊ばれてる気分になってたの!」

「信愛相手に遊ぶ余裕なんてないから!」


.

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夏実(プロフ) - 実在する人物を題材としているのでオリジナルフラグを外しましょう (2019年11月10日 4時) (レス) id: caffb068cf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:松野 | 作成日時:2019年11月10日 2時

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