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#33 ページ34



『やぁ、A!もしかしてその隣はボーイフレンドかい?』

「違うから。これちょうだい」

家の近所を出歩くと、皆んな顔を覚えてくれてるので声をかけてくれる。ただ、今日に限って私に連れがいるので、聞かざるをえないのだろう。
この話題で絶えない。

祐希が私の住む街が見たいというので、買い物がてら連れてくると、日本人を見慣れない住民の関心を引いていた。

結局、普通に家にあげてしまった。

石「立地良いところだね。店も多いけど、落ち着いてる」

「そうね、直近で決まったにしては良いところに入れてもらったかも」

帰り際、スーパーで買ってきたオレンジジュースを注いで祐希に渡す。
家に人がいるのが不思議でたまらない。
たまにエマが来ることもあるけど、それとは違って落ち着かない。

石「イタリアもだけど、オランダの人たちもフレンドリーだね」

「そう。あとは、すごくダイレクトだなって思う。忖度なく思ったことは言うし、良かったらすっごく評価してくれる。悪かったらファンでもあそこがダメだったって指摘してくる。でも全部愛があるからもっと頑張れるって思うんだよね」

石「へぇ」

「日本は...悪いとこを指摘し合うのは苦手だしね」

石「わかる」

互いのことで精一杯だったからか、連絡を取り合うことが減り、連絡を取ったとしても少しの会話しか交わさない。久しぶりに話した気分だった。
そして自分のチームメイトについての話になった。

石「イタリアに来てすぐに誕生日をチームのみんなに祝ってもらったんだけど」

「たんじょう......誕生日!?」

驚いた私に祐希はやっぱりと言った。

石「通りで連絡も来ないし触れてこないと思った」

「あぁ...ごめん。ググれば出てくるのに」

石「ググ......まぁ、でも俺もAさんの誕生日かなり後に知ったし」

そうだ、私は夏生まれなのでとっくの昔の話。
あの頃はまだ知り合い程度だった。
こんな異国の地まで一緒に来ることになるとは思っていなかったもんな。

「次、祝うから。二十歳だもんね。盛大に祝います」

石「でもAさんも二十歳だよ」

「私はいいよ」

よくないと速攻否定される。

石「それにクリスマスも年越しも、Aさん何も言ってこないし。全然ロマンチストじゃないよね。俺と年越ししたいって言ってたのにな」

「それそっちが勝手に言ったことでしょ」

石「もういいよ、はいこれ」

そう言って手に小さな箱を握らされた。


.

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夏実(プロフ) - 実在する人物を題材としているのでオリジナルフラグを外しましょう (2019年11月10日 4時) (レス) id: caffb068cf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:松野 | 作成日時:2019年11月10日 2時

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