緊張しちゃうなぁ。 ページ22
久しぶりの実家。
特に変わった感じはしない。
隣にいるAさんは緊張してしまうからと俺から拓実を取り上げて抱っこをする。
「母さんはAさんが来るのを楽しみにしているから平気だよ」
「……福良さんが平気でも、私は平常心ではないです」
「結婚の挨拶みたいだもんね?」
「!?それを言わないでくださいっ!意識してしまうので…」
顔を拓実に埋めて隠す仕草にまた愛しさを覚えてしまった。
河村に似て俺も意地悪な奴かもな。
ゆっくりとインターホンを押す。
実家のインターホンは接触が悪いのかゆっくり押さないと鳴らない。
ちゃんと直さないなんて、福良家は抜けてるんだよな。
玄関の扉が開く。
元気そうな母さんが笑いながら迎えてくれた。
「おかえりなさい、拳。それと拓実も。あと、初めましてAさん。拳からお話は伺ってますよ、どうぞ中へ」
「は、初めまして…!AAと申します!福良さんとは同じ会社でお世話になっていて…」
「ふふ。お話は中に入ってからたっぷり聞かせてもらうわ。風が少しあるから早く中へどうぞ」
「Aさん、入ろ?」
「あ、はいっ。失礼します」
いつものAさんも丁寧な口調だけど、母さんと会うともっと丁寧になっていて。
凄く緊張してるんだなぁって伝わってくる。
俺も何だか緊張しちゃうなぁ。
「拳、お兄ちゃんに連絡してみたのよ。拳に拓実を預けて自分だけ仕事をして申し訳ないって言ってたわよ」
「俺一人で面倒みてたわけじゃないよ。隣にいるAさんがいたから出来たんだし。一人じゃとてもじゃないけど拓実をみれなかったと思う」
「そうね。ありがとう、Aさん」
「いえっ、そのっ、はい。こちらこそありがとうございます…!」
母さんは可愛いお嬢さんだねと笑いながら言った。
Aさんはなんとも言えない表情をしている。
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作者名:*ゆ う* | 作者ホームページ:
作成日時:2021年2月28日 12時