Dear Destiny ~僕が見える君と~

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「ねぇ、もしかして僕の声、聞こえてるの？」




『聞こえるも何も話してるし…』








声は聞こえるのに
周りにはやっぱり誰もいない…



怖すぎる…







「違う違う、こっち」



『へ？』



「上だよ、上」







言われるがまま振り返って見上げると
いつの間にかバルコニーに人が…




なんだ、普通に人じゃん。よかった…



でも、そこ入っちゃいけないとこじゃなかったっけ？


結婚式に来てる人かな？結婚式なかったと思うけど…


結婚式出るにしたら派手な格好だな…






バルコニーにいるその人は
千鳥格好柄のセットアップに
黒のタートルネックを着てて

風でなびく黒髪は少し長くて
背が高いのがここからでも分かった。




誰だか知らないけど、無駄にスタイルいいし…





私、そういうのに疎いけど、モデルさんとか？


チャペルだし撮影でもやってんのかな？








.








「君、僕のこと見えるの？」







.








『はい？見えてるもなにも…』



「見えてるなぁ」



『なんの話？どういうこと？』



「ははっ、すごいな。こんなことあるんだ」



『なにが面白いのよ！見えてちゃ悪い！？』






訳分かんないこと言うし
こんな時になんなの！？



とは思ったものの
さすがに我ながら初対面の相手に
失礼なこと言ってるなってすぐ反省がやってくる。

向こうだってなかなか失礼だと思うけど。





そして、そんな私の百面相を見てか
クスって笑ったあなた。







太陽の光を纏うその姿は
この世のものとは思えないくらい綺麗で
天使にも悪魔にも見えたの。


まぁ、どっちでもなかったんだけど。









これが私と名前も知らないあなたとの出会い。

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