猫、直す ページ8
ふらっと目に留まった黒猫。巴形薙刀を見ると、階段を登っていってしまう。そっちは審神者の部屋だ
巴形薙刀
「そっちへは行くな」
声を掛けても言葉が通じる訳がない。綺麗とは言えない襖の前でにゃあにゃあ鳴いている黒猫。いい思いをしてこなかった刀剣にとっては、そっちへ行くのも苦痛。当然黒猫が知るわけない。だが、今ここに居るのは巴形だけ。
巴形薙刀
「入りたいのか?」
__にゃあぁ
そうだと言ったのだろうか。仕方ないと思い、黒猫を抱き上げ襖を開けた。澱んでいる空間、埃っぽく長居はしたくない。真ん中にポツンと置いてある座布団が、この部屋に何も無い、だだっ広い空間をより際立たせている。
巴形薙刀
「もういつからここへ来てないのだろう。よくここに入りたいと言ったな」
__にゃん
巴形薙刀
「下りるか?」
そっと荒んだ畳の上に黒猫を下ろす。座布団に何の躊躇もなく座り込み、毛繕いを始める。ここに黒猫が居る以上、完全に襖を締め切る訳にはいかない。
巴形薙刀
「!」
だが何故だろう。先程黒猫に触れたが、怪我が完全に治っている。それに荒んでいたこの部屋も黒猫が入った途端、修復され綺麗な部屋へと変わっていることにも気づく。
巴形薙刀
「お前がやってくれたのか?」
__ん"ん
巴形薙刀
「そうか」
自分がやったのかはわからないが、そうだと返事したみたいだ
静形薙刀
「巴形、ここに居たのか。ここは以前の審神者の部屋だろう。荒んでいたが何故こんな綺麗になっている?」
巴形薙刀
「この黒猫が直したようだ」
静形薙刀
「ほう?この黒猫が?…お、おい…あまりこっちに来ないほうがいい…」
静形は自分の身体が大きい故、黒猫を傷つけてしまわないように距離を取ろうとするが、黒猫にそんな気持ちは伝わらず目の前で座り込み、にゃぁと鳴いた。
巴形薙刀
「撫でてくれと言っているようだぞ」
静形薙刀
「…いいのか?」
大人しく待っている黒猫の頭をそっと撫でる。ゴロゴロ喉を鳴らし、何度も擦り寄る。
静形薙刀
「可愛いな。あっ…!」
巴形薙刀
「行ってしまったな」
決して静形の撫で方が悪かったわけではなく、2振りが大きいからでもない。ただ単に撫でてもらうことに満足したからだ。
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ミライ(プロフ) - まーちゃんさん» コメントありがとうございます。構想は練っているのでいつかは文字にして書きたいと思います。 (4月24日 0時) (レス) id: 17218a0b9e (このIDを非表示/違反報告)
まーちゃん(プロフ) - とても面白かったです。 できたら学校でいじめられてる子がブラック本丸の審神者になる﹆そう言う夢小説が読みたいです 出来たらで大丈夫です。これからも頑張ってください (4月24日 0時) (レス) id: 6350c1876f (このIDを非表示/違反報告)
ミライ(プロフ) - ローズクロスさん» ありがとうございます! (4月22日 21時) (レス) id: 17218a0b9e (このIDを非表示/違反報告)
ローズクロス(プロフ) - 完結おめでとうございます!読み始めてから毎日、更新を楽しみにしてました☺ (4月22日 21時) (レス) id: 928643df23 (このIDを非表示/違反報告)
ミライ(プロフ) - 赤瑪瑙さん» ありがとうございます! (4月22日 21時) (レス) id: 17218a0b9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミライ | 作成日時:2024年1月26日 0時