La Pomme Cristal (前編)

15、不意討ち side-2 ページ16

　
　
　
2「いってぇ……」



膝を傷めたらしい。



傷めたのはいつだったかは思い出せないから、激しめのダンスナンバーのMV撮影で一日中踊りまくって、負担が蓄積したんだと思う。



腫れてきたので、マネージャーに湿布を持ってきてもらった。









あれから一週間。



腫れと痛みが引かない。



2「ヤバいわ、昔はこんな事無かったけどな。」



Y「侮ってないで早く医者行けよ。

放置して何かあったら……」



みんなの頭に、一瞬ガヤの事がよぎったのがわかった。



ガヤは、もっと早く精密検査を受けるべきだったんだ。



2「うん。

今日の収録終わったら行く。」



冠番組で、それぞれのテーマで身体を張らなきゃいけなかった。



穴は空けられない。



何とか耐えて最後の「カット！」を聞いた。



2「お疲れ様でしたー！」



楽屋に戻ろうとして踏み出した瞬間、ガクッと前のめって倒れた。



不意討ちの膝カックン？



何のドッキリだよ。



急に、足が消えて無くなったかのように、踏み締めた感覚が無く身体が崩れ落ちた。



でも足はあった。



その証拠に脳天つん裂くような痛みに襲われる。



脂汗が流れた。



痛過ぎて声も出なかった。



S「ニカ！ニカ！大丈夫？」



T「一体どーした？」



M「何も無いトコでつまずく？」



Y「顔真っ青だぞ？

普通じゃない。

すみません！

救急車呼んで下さい！」



みんなが口々に俺を心配して寄ってきたけど、横尾さんが「救急車」と言ったところで意識が飛んだ。

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