La Pomme Cristal (前編)

14、追い討ち side-F ページ15

　
　
　
Y「おっすー太輔久しぶり！」



玉宮ペアの翌週、遊びに来た渉と健永にハイタッチした。



二人は、頑張ってテンション高く保ってるように見えた。



俺は大丈夫だよ。



声が出ない事にも慣れてきた。



でも俺のせいで、五人での活動を余儀無くされている渉達に、申し訳無くて堪らない。



S「体調はどう？」



F『体調自体は悪くない』



S「それだけでも嬉しいよ。」



F『活動どうなってる？』



Y「もう先月だけど、五人でシングルのレコーディングとMVの撮影した。

結構な攻め曲でさ。

太輔不在でも、買い支えてくれるってファンの声がいっぱい届いてるよ。

どんな声でも太輔が復帰するの待ってるって。

どんな太輔でも会いたいって。

存在だけで意味があるんだよ。

アイドルって、そういうモンでしょ。」



F『そうだね。

いつか俺なりの復帰遂げたい。』



S「その時はメンバーみんなで精一杯支えるからさ。」



F『そう言えば、ニカは最近個人仕事でも入ったかな。

全然遊びに来てない。』



Y「ニカは……忙しい。」



渉の言葉が少しよどんだ。



俺は、健永の目が曇ったのを見逃さなかった。



しかし、その理由を問いただす勇気が無かった。



ニカは主演のドラマか映画が入ったか、バラエティーのレギュラーでも掴んだんだ。



それなら、グループにとってどれだけプラスか。



シンメの俺が不在でもニカは頑張ってる。



そう信じて疑わなかった。



ネガティブな事は考えたくない。



ネガティブなのは俺一人でじゅうぶんだ。









しばらくここに居付いてやろう。



そう思って、1ヶ月が経った。



ある日俺達のグループが、追い討ちをかけられたように、致命的な状態に陥った事を知る。

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