6ー5 ページ30
泣き出す光に裕翔は驚いたような顔をした。
そっか、裕翔は光のこんなところは見るのは初めてか。
そらそうだ。いくら病院が苦手って言っても普通ここまでとは思わないよなぁ…
いや、今はそんなこと言ってる場合じゃない。
早く処置しないと。
「大丈夫。宏太が手治してくれるからね〜」
大ちゃんが光を宥めている間、手元に集中する。
「消毒するね〜」
全体的に赤く腫れていて、一部は水膨れも出来ている手の甲。
水膨れを潰さないように慎重に消毒していく。
「んっ、やだ…いたいっ…ん〜…」
「ごめんなぁ、痛いね〜」
痛い、痛いと身をよじる光だけど、手だけは裕翔がしっかり抑えてくれているおかげで、スムーズに進む。
よし、後はこの軟膏塗って、ガーゼ貼るだけ。
「頑張れ、頑張れ」
「もうちょっとだよ〜」
裕翔と大ちゃんは声を掛け続けて、光を励ましている。
「お薬塗るよ〜」
薬を直接塗ると、痛かったみたいで、より一層声を出して泣く光。
「んー！…いたっ…っ…いっ…んっ…」
「さわるのっ…っ…だめっ…っ…」
ボロボロと涙を流す光。
「うんうん、痛いね〜」
可哀想だけど、これはちゃんとやらないといけない。
薬を塗り終わり、ガーゼを当ててテープを貼る。
「はい、もう痛いのおしまい」
そう声を掛けたけど、光の涙は止まらない。
大ちゃんと裕翔も背中を撫でたり、慰めたりして、何とか落ち着かせようとする。
「んっ…っ…っ…ん…」
「ごめんな。よく頑張ったよ、光」
そう言いながら、包帯を巻いていく。
これでガーゼが取れる心配もなくなるしね。
包帯を巻き終わると、大ちゃんに手を伸ばす光。
大ちゃんは、光をぎゅっと抱いて背中をトントンと叩く。
“このまま寝かせる”
そう口パクで伝えてきたので、俺は静かにその場の片付けをする。
裕翔は近くに置いてあるブランケットをそっと光の肩に掛けた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 77人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
TT(プロフ) - ♪尾曲がりニャンコ♪さん» ご意見ありがとうございます。応援、励みになります♪ (2017年3月4日 10時) (
レス) id: a5409a49a2 (このIDを非表示/違反報告)
♪尾曲がりニャンコ♪(プロフ) - 作者さんが分かりやすく書いてくれてるので、今のままで大丈夫だと思います！更新ファイトです！ (2017年3月3日 11時) (レス) id: 79d67a7ed9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：TT | 作成日時：2017年2月25日 0時
