紗々 11 ページ49
太輔side
初めての日
あの日の事を俺は忘れない
出会って、再三再四アプローチして
それでもなかなかオッケーをくれなくて
多分、最初は
なかなか落ちない女の子に興味が湧いただけだった
アイドルの俺が、落とせない女が
いるわけない…
ゲームみたいな感覚
一回シたら、捨てるつもりだった
メールして
ラインして
電話して
無視されて…切られて…
腹はたったけど、段々、熱くなっていった
あり得ないけど
会社にも行った…
大した変装もせず、自分の車で
夕暮れ時のオフィス街に乗り付ける
今、冷静に考えたら
立派なス、トーカーだよな…
そりゃ…泣くよな
あの日、君は初めて俺の誘いに『うん』と言った
泣きながら、『うん』と言って
車に乗ってくれた…
そして
車が走り出すとすぐにこう言った
「何をすれば、許して貰えますか?」
「何をすれば、やめて貰えますか?」
「どうすれば…貴方のゲームは終わりますか?」
「教えてください」
「何でも…しますから…」
後部座席に身体を沈めて
ポロポロ…ポロポロ涙を流しながら
君は、俺に問い続けた
彼女が、車に乗った瞬間
"勝った…"そう思った俺は
地獄にでも突き落とされた気持ちだった
俺は…
いつの間に、こんな酷い人間になったんだろう
人の心の痛みもわからない、酷い奴に。
その日、俺は
彼女を部屋まで送って行き、頭を下げた
これまでの非礼を詫びる為に
何度も…何度も…
額を、膝に押し付けて謝った
そして…彼女に助けを求めた
おかしくなってしまった自分を、救って欲しいと。
君しかいない、と。
それからも
何度も…何度も…頭を下げて
メールして、ラインして、電話して…
断られても諦めらんなくて
やっと彼女が、食事に付き合ってくれたのは
出会ってから三ヶ月後だった
「ランチなら…」って条件付き…笑
久しぶりに高揚する気持ち
いつもは、料理なんか気にしない
とにかく個室、それしか考えた事なかった
でも、あの時は
何が好きだろう
何なら、食べやすいだろう
何なら、話が盛り上がるかな
会社から、遠すぎるの、よくないかな
彼女の顔を思い浮かべながら
あれこれ思案した
考えるのに疲れ果てるくらい…考えて
でも、
考えるのをやめたくないくらいに幸せだった…
それが、彼女との恋の始まりだった
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作者名:トウコ | 作成日時:2018年1月1日 18時